愛なんて腐るほどさ






























全くもって、おびえもしない女なんて抱く気にもならない。
そうされることを期待待ち顔で、こちらをねっとりと見上げてくる視線なんておぞましいとまで思ってしまう。
私が欲しいのは、これ。


〜〜〜!!!!!!!」
「いやぁああ〜〜〜!!こっちこないでぇええ!!」


全力で走る私の前を、同じように全力で走っているを見てくれよ。
時折、距離を確かめるようにこちらを振り返っては、うっと目の端に溜った涙がこぼれんばかりに目を見開く。そして、私がまだついてきていることを確認してはまたおびえたような眼をして前に向き直る。
たまらない。
ああして、わざと逃げてあのぷりぷりしたお尻を私に見せつけるのが目的だとしたら、なんて女だ!
騙されて私はむしろ大満足だ!と、を抱きしめて学園の中心でそう叫んでやりたいくらいだ。
でも、5年間の付き合いでよーく分かってる。
はそんな子じゃないってね。
真剣に嫌がってるんだよ。あれ。
いや、さっき私がにある条件付き鬼ごっこを仕掛けたからだけどさ。
でも、こんだけ真剣に私も追いかけてるってところに真意を汲み取ってほしいだなんて、身勝手で一方的な想いをこめていたりもするんだな。
それに気付く余裕なん見せずに、私の言葉を聞いて血相を変えて走り出すが大好きだよ、まったく。


〜、そろそろあきらめて私に捕まってもいいんじゃなーい?」
「誰が、捕まるかぁああ!!もう、諦めてどっか竹谷とか久々知とか雷蔵とかと…あっ!」
「ん?どうしたぁ?」
「ら、雷蔵!雷蔵の所で助けを求めてやるんだからぁああ!!ばーか!三郎のバーカ!」



まるで、勝利宣言かの様にそれはそれは嬉しそうに、自分の気付いたことを高らかに口にしてしまうのちょっと、間の抜けてる所も好き。
そんなことだから、すぐに私に絡めとられちゃうんだよ。
今のだって、言わなきゃよかったのにね。
私は、いくらか足取りが軽くなったの背に一気に詰めよると、背中の着物を思いっきりひっつかんで横の壁にの体を押しつけた。
それ相応の速さで走っていたの体はぐえっと音を立てて壁にぶつかった。
が文句を言う暇もなく、私は壁に手を押し付けてのことを腕の中にとじこめた。
痛かったのか、それとも走っている間の名残か、まだ目尻に涙がたまっていた。
目を大きく見開いて私の顔を穴があくほど見つめてくるに、まるで雷蔵の様に慈愛に満ちた笑顔を向けてやる。


「ったぁ……」
「残念、捕まえた」


ヒッと、声を挙げたの唇はわなわなとふるえてる。
ん〜、かわいい。噛みついてやりたくなるね。


「な、な、な、な……」


はそんなに私が怖いのか、声がぶれちゃってうまくしゃべれてない。
怯えちゃってどうしたの?


「んー?なぁに?」
「なんで、」
「うん」
「なんで、いじめ、るの」


思わず笑みが深くなる。自分の唇が吊りあがっていくのを感じてしまう。


「いじめてなんかないよ」
「だ、だって、じゃ、じゃあ離してよ」
「離さないよ?」
「さ、さっきのだって嘘、なんでしょ?」


まだ一縷の望みにすがりつこうと必死になっている
これでも、追い詰められたのは私の方だって気付いてるかな?
気付いてないよね。だって、嘘だなんてこの唇からやすやすと紡ぎだせるんだから。


「嘘なんかじゃないよ……さっき言った通り」
「ぁ、う」
「顔真っ赤だよ?」
「だ、だ、…て」


くすくす笑いながら、まだ悪あがきしてるに甘ったるく囁いてやる。


「するよ?だって、さっき言ったじゃん」
「う、そ」
「嘘なんかじゃないって、ちゃーんと




のこと食べちゃう」




まんまるに見開いた目からポロリと、絶望にも似た涙がこぼれおちた。
そんな表情をさせてるのが、自分だと思うと腰が疼く。
手始めに、ぐっと、との距離を縮めて、顔を寄せる。
後ろに逃げようとしたみたいだけど、おバカさんだなぁ、壁だってば。
左右にも逃げれず、なされるがままのの表情ばかりがくるくると変わっていく。


ちゅ


額に一つ、


ちゅう


ほっぺたに二つ


れろり


唇はひとなめ


かじ


耳に噛みついて、もう一度視線を合わせる。
まさか、本当に?といったところだろうか、の顔はさっき以上に真っ赤だった。


「さぶ、ろ」
「びっくりした?するって思ってなかったんでしょう?」


今までにも何度かこんな状況があっては、助けられて、今度だってどうにかなるとでも思っていたは心底焦っているみたいだった。
そんな様子がまた一層、私をたまらなくさせる。


すっかり硬くなってしまったの頭巾をするりと取ってしまうと、かじった耳が微かに痕が残っている。


「あ。ここ、痕付いた」
「あ」


撫でるようにそこに手を当てて、目を細める。


「もっとね、沢山付けたい。が泣いたってやめないから」
「あ、う……さ、ぶろう」


ようやく捕まえた。
何回も、何回だってキスしちゃう。
戸惑っているの体がずりっと、少し下に落ちる。
すかさず片膝をの足の間に差し込んで、逃げられないようにした。


「残念、私も…もう逃すつもりないんだ」
「ふぁ」
「いじめてなんかいないよ
「う、そ」
のこと好きすぎて、やばいくらい」


じりじりと、顔が近くなって、前髪同士が触れ合う。


「泣いても、嫌がっても、もう我慢できないくらいに」
「……」


声も出せずにいる
鼻先がぶつかる、くすぐったい感触。


を愛してる」
「さぶろう?」


困惑した幼子みたいなに、おとなの愛撫ってやつを教えてあげるよ。
たっぷり時間をかけて、ね。
だから、まずは手始めにキスをしよう。
の答えなんて聞きもしないで、私は無理やり唇を重ねて、の口を犯しはじめる。
追いかけて、追い詰めて、絡め取ってあげる。
泣いたって許さない。
ここまで追い詰めたのはなんだから。
端から腐り始めたこの愛を、受け取って。
満足させるって約束するからさ。
ね、。だーいすき。















































三万ヒットありがとうございます!
感謝感激の嵐です。
コメント「Sくて、愛のある鉢屋エロ」ということで、書かせていただきました!
正直、これは微エロどまりでしたが、いつも通り後日…あるかも…ね?^^
投票ならびに、コメントありがとうございました!!