君の手触り































今日は何をして遊ぼうかと、ウキウキしながら歩いていると、大きな風呂敷が目の前を歩いていることに気付いた。
ゆっさゆっさと、ゆれながら風呂敷がつっかえながら歩いている。


「しーんべヱ!なにしてるの?」


後ろからその風呂敷を捕まえると、やっぱり息を切らしたしんべヱがこちらに気付いて顔を上げ、へにゃりと笑った。


「あー、せんぱーい!」
「しんべえどうしたの?こんなにおっきい荷物」
「はい!パパが南蛮土産ってたくさん送ってきてくれたんです」


聞いたこともない様なお菓子の名前を次々と口にするしんべヱ思わず顔が引きつりそうにならなくもないが、心底嬉しそうに言うからそんな気持ちも一瞬通り過ぎただけでこちらまで一緒に笑顔になってしまう。


「そうなんだ、しんべヱの好きなお菓子ばっかりだね」
「えー!なんで先輩分かるんですかぁ!すっごーーい!」
「そりゃあ、しんべヱの先輩だもん」


しんべヱを少しでも助けてやろうと掴んで軽く持ち上げている風呂敷は、予想以上に重い。
これ、本当にお菓子しか入ってないのかと疑いたくなるほどに。


「他にはしんべヱのパパ送ってくれたの?」
「うーんっと、うーんっと…あ!先輩にプレゼントです!」
「え?」


にこにこと、微笑みながら思い風呂敷包みを背中からおろしたしんべヱのそばにしゃがみこんで、一緒に荷を解くと、でてくるでてくるお菓子ばかりじゃなくよくわからない形のギヤマンやら、鉄やら本当にいろんなものが入ってる。これなら重くて当然だ。


「あ!あったー!」
「なになに?……なんぞこれ……???」


自信満々に手にしたものの説明を始めたしんべヱは私の知らないしんべヱでした。
それは、まさに福富屋さんところの息子さんでした。
私はただ、しんべヱの話と説明に圧倒されるのでした。


































「あ!食満せんぱーい!!」


あの四年の綾部が掘りまくった穴を埋めている途中で、喜三太と平太が二人仲良く走ってきた。


「あー、お前たちどうした?また、なんか用具壊れたー!とか騒いでるやつがいるのか?」


数日前に壊れたと大騒ぎというか、憤慨しながら俺に文句を言ってきたを思い浮かべてしまって、頬が緩む。
違いますよ―!と頬を膨らませる二人の頭を撫でて、別にお前らを馬鹿にしてるわけじゃないと言うと、疑いたっぷりの目で見つめてくる。


「だ〜、本当だって。それで、どうした?なんかあったのか?」
「はい!ありましたー!」
「あ、あの…」


二人で、せーのと声を合わせる。


「「せんぱいが、食満留三郎先輩のことを呼んでましたー!」」
「は?」


今日は、穴埋め一緒にやるかと誘った瞬間に断られたのに、呼ばれてるのか俺。
ぽかんと固まっていると、心配そうに裾を引っ張り始める二人に、慌てて大丈夫だと手を振って見せた。


「こら、そんなに引っ張るなって」
「じゃあー、食満せんぱいはやくぅ!」
「早くしないと…せんぱいがいやだよって言ってました」
「そうですよぉ、僕たちが代わりに穴埋めておきますからぁ」
「あー、分かった、分かったから」


どこにいると聞くと、すぐに二人で用具倉庫で待っているそうですと返事が返ってきた。
一年に甘えるのも何かと思うが、そろそろ富松もここにやってくる頃合いだし、に何かあったならそれはそれで、心配だし気になる。


「じゃあ、お前たち頼んだぞ?」
「「はーい!!」」






























白い漆喰の壁に囲まれた戸が日差しのせいで、余計にクッキリと浮きたち妙な感覚を食満にもたらしていた。
ぽっかりと、空いているそこに足を踏み入れていいものか、一瞬戸惑ってしまったがなんてことはない。見慣れた戸だ。
格子に手をかけ足を踏み入れると、途端に光が減り僅かな間何も見えなくなる。


?」


その間にの名前を呼ぶと、奥の方から返事が聞こえた。
まだ慣れきれない目での姿を求める。


「留、」


トンッと、体に軽い衝撃を感じるのと同時にの体が腕の中にあった。


「あ、?」
「留、とめ」


ぎゅううっとしがみついてくるに戸惑いながら、どうしたもんかと、とりあえずの両肩を掴んでみた。


「どうしたんだよ、
「あ、あんおね、これ、おいしいの」


呂律が回っていない。
嗅いだ事のない匂いがから香ってくるが、あからさまに酒気を帯びたものだと言うことは分かる。


「どうしたんだ、それ?」
「あのねあのねぇ、しんべヱちゃんがね、くれたのんだようね」


こちらを見上げてへにゃへにゃと締まりのない笑みを浮かべてくるの口元に、着いたこげ茶色のかけらを掬って口に運べば、やっぱり酒の味と焼けつくような甘さが口の中に拡がった。
しかも、この酒、味わったこともないような強い香りと強さだ。


「あは、あとね、これもね、くれたんだよぉ?」
「え、あ、ちょ!?」


片手をがっちりと掴んだが何をするかと思いきや、そのまま俺の手を自分の太ももへと導いた。
しかも、こいつ、袴はいてない!!!!!!!
暗いし、急だったからよく見てなかったが上着がぎりぎり太ももを隠している程度だ。


「ほら、しゅべしゅべー」
「あ、う」


の手が俺の手の上に重なって、上下に一緒に動くと、ぴったりと押し付けられたの太もものぬくもりを、我慢できなくなるほど感じさせられる。
その上、その肌触りは今まで触れたことのあるの太ももと全然違った感触で。


「な、なんだこれ」
「すとっきんぐー」
「す、すとっきんぐ?」


手のひらに、しゅるしゅると素肌とはまた違った心地よい感触が広がって、終いには頭の中はこんなぎりぎりな格好で俺の手を自分から太ももに這わせるの事でいっぱいになって。


、」
「なぁに、ん、むぅ〜〜」


貪るように口づけたの口内はさっきのかけらとは比べ物にならないくらい、甘くて熱くて喉が焼けついた。
頭の中にダイレクトに響いてくる淫猥な水音と相まって、くらくらするほど、手を夢中で動かした。
の尻も太ももも、全部そのすとっきんぐと言うのに包まれているらしく、むちむちとし感触とすべすべした感触がたまらない。


「あ、あ、あぁん、や、もう、とめぇ、お尻えっち」
「ん、はっ、気持ちいいんだろ?」
「ふぁ、」


泣き笑いの様な表情を浮かべて、体を預けてくるはいつになく積極的で、もうくらりとその姿表情、味わいに酔いしれた。





























うわわわ、こんな君に俺が止まるか?止まれるわけないっての!