それは、やっかいな病。
うう、なんて最悪なやつ。
学園一、嫌な奴。
ぐだぐだ言うな!できれば、私に関わるな!
本当、むかつく!!
「であるからして、この学園ナンバーワンっ!の滝夜叉丸が颯爽と登場して、お前らには不可能な美しすぎる戦輪の技を繰り広げ、見事にこの課題を成功させ……」
「……」
「しかもだっ!しかも、この私にかかればその課せられた課題よりもさらに評価の高い実技が……」
ぐだぐだぐだぐだぐだぐだ……本当に、この男は自分のことしか考えてないに違いない!
関わり合いになりたくないのに。
先ほど、運悪く滝夜叉丸に木陰で読書しているところを見つかり、それからずぅっとこの状況が続いている。
最初っから今まで無視し続けているというのに、私が滝の話に聞き惚れていると勘違いした彼は延々とその口を休めることもなく延々と話し続けているのだ。
正直、本の内容もさっぱり頭に入ってこないし、滝の話も全く右から左に流れていっていた。
うんざり、としか言いようがない。
かといって、ここで口をはさめばもっとこの話が長続きするかもしれないし。
下手にかかわってこの後、私の有意義な一日を丸々つぶされる可能性もあるよね…。
ああ、嫌だ、それだけは阻止したいし……う〜ン・・・・・・・・
くそう、考え事は苦手なんだってば。
私頭悪いし、その上こんな隣に滝がぐだぐだしゃべってる状況でなんてさ。
う〜ん……・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「」
「滝夜叉丸……」
急に真面目な顔をするから驚いた。
いつもは自分しか映っていないような大きな瞳に、私を映してる。
な、なによ。
「、私のことが嫌いか?」
「え?」
「私は……のことが好きだ」
ふわりと風が私たちの髪を揺らした。
あまりにも静かだった。
まるで世界が私たち二人で構成されているようで。
何を言っても許されるようで。
「、私が嫌いか?」
「わ、私は」
自信に満ち満ちているはずの彼が今はひどく頼りなく見える。
いつもは私の話なんて聞かない彼がじっと、私の答えを待ってくれている。
「私も、好き」
「」
添えられた手。
近づく吐息。
押し当てるように触れ合った唇。
ちょっと怒ったような顔で照れてる滝がかわいくて、思わず笑ってしまった。
「おい!!!!!!!!」
突如がくがくと体を揺すぶらされて驚いた。
「ふぇ!?ええ!!?」
「起きろ!私の話をちゃんと聞け!!」
滝夜叉丸が私の両肩をつかんでゆすぶっていたのだ。
え!?
な、なにこれ!?
「私の素晴らしい武勇伝を語っているのだから、寝ないでちゃんと聞くのだっ!」
え?私さっきまで寝てたの!?
ゆ、夢!?
夢!?
わ、私なんて夢を!!?
ぎゃ〜!!!
思わず滝を思いっきり突き飛ばして全力で自分の部屋へと走り出した。
は、恥ずかしい!!!
後ろから滝夜叉丸の叫ぶ声が聞こえてきたけど、それどこじゃない!
学園一うざくて、性格がカスで関わり合いになるとろくなことがない
滝夜叉丸
と、私はなにかんがえてたの!!?
ば、ばか!
私のばかぁあああああ!
私は自室に逃げ込むと、頭から布団をかぶって激しく苦悩した。
後日。
「うう……調子悪い」
寝不足のせいか、イマイチな感じの私は食堂で朝ごはんをもそもそ食べていた。
「!!」
「ん?」
なのに、朝から振り向くとそこにはた、滝夜叉丸!!?
「ほれ、これ昨日忘れていったぞ」
差し出されたのは私が読んでいた本。
「あ、ありがとう」
「ん?気にするな」
きら〜んv
ってなんだ!!
なんで、今私、滝夜叉丸の笑顔見てドキッとした!?
い、いやぁあああああ!!!
滝夜叉丸の顔まともに見れない!!!!!!!
な、なんでぇえええええええええ!
は突然立ち上がると、滝夜叉丸を突き飛ばして走り出してしまった。
呆然とその場に取り残される滝夜叉丸と、の食べかけのA定食。
「わ、私が何をしたというのだ……」
終
このあと二人の追いかけっこが繰り広げられるといい。
逃げちゃうちゃんと躍起になって追いかける滝。
さあ、追いつくのはいつでしょうv
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