こっち向いて
隣に並んで歩いて、その時に、自然に重ねた手をどうして嘘だと君は言うんだろう。
「ほら、私たち仲がいいから」
「そう?」
絡めた指と指に隙間なんてないのに。
頬を両手ではさみこんで、啄ばむように口付ければ、ほら、こんなにも気持ちいいのに。
「だって、相手がタカ丸じゃなくてもすることは同じでしょ?」
「ほかの人としたいの?」
「分からない」
本当はしたくないくせに。
強がって見せる君が好き。
だから、たどたどしくからめられた温かい君の舌に愛感じた。
夜も更けてくれば、二人で素肌を重ねて熱い息を吐く。
「気持ちいい?」
「知らな…い」
「本当?」
思わず顔がにやけちゃうのは君だからなのに。
真っ暗な部屋で、ちゃんの耳に甘く切なく囁けば、一層反応が強まるというのに、君はそんなの気のせいだと目をそらす。
素肌に刻まれた二人の愛のしるしを辿るように滑る、ちゃんの細い指。
うっすらと、涙が滲んで赤くなった瞳は、君が思ってる以上に雄弁で、俺の欲望をかきたてる。
わざと音を大きく聞こえるようにたてて動けば、甲高い声で答えてくれる。
はちきれんばかりに膨らんだ俺の想いは、その瞬間に爆発する!
「あ〜!もう駄目っ!本当ちゃん大好き!すきスキすき!」
「っ、や、た、タカ丸!!?」
「もう好きスキ!大好き!ちゃんのこと好きすぎて変になっちゃう!」
「わっ、や、も!」
「ちゃんも俺のこと大好きでしょ?」
「うっ・・・・く」
「ほら、好きすぎてどうしようもないんでしょ?」
「私、」
「俺はちゃん大好き!」
「〜〜〜!!す、好き…だよ」
ぎゅうぎゅう抱きしめて、繰り返す愛の言葉!
言葉なんて本当はいらないくらいに、君の全部に愛感じてる!
真夜中に目を閉じて、二人でお互いを感じ合おう
そうしたら、ちゃんがどこにいるかすぐにわかるから
だから、不安に思ってそっぽ向かないで
本当は、ほんの少しだけ寂しいから
ね、ちゃんが大好きなんだ
終
スランプ
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