あまいあまい















「ね、ちゃん」
「……こないで、お願いだから」


頑なに他の存在を拒絶する背中。
ありの一匹でさえちゃんは拒否してる。
嫌だ嫌だと泣いて、ぎゅうぎゅうと背中を丸めて、自分を消したいと頑張る。
でも、そんなことをしたって消えるわけでもないし、泣き続けるだけなのに。
俺はニコニコ笑いながらちゃんの隣に座る。
俺の右側と、彼女の左側がぴったりと隙間なんてあったら勿体なってくらいにくっつきあう。
嫌だって言う割に、くっついても拒絶しないちゃんに愛おしさがこみあげてくる。


「ほら、くっついちゃった〜」
「ん……やだって言ってるのに」
「だって、僕はくっつきたいんだもん」


俺はこんなに君のことを見つめていたいのに、ちゃんったら俺のことなんて見ないでずうっと壁とにらめっこ。
つまんなーい。
そうっと手をのばして腰に手を回す。
一瞬ちゃんの体がびくりとはねたけど、気にしないでぎゅうっともっと彼女の体を俺の体に引き付ける。


ちゃんは柔らかくって気持ちいいね」
「……そんなことない」
「あるよ〜」


いつもは嫌だとか、くすぐったいって言ってなかなかおとなしく触らせてくれないから、嬉しくていっぱいべたべたしちゃう。
柔らかい髪に頬ずりしても、ほら、おとなしい。
本当は、ちゃんが落ち込んでて泣いてて辛そうで…かわいそう、何とかしてあげなくちゃって思わなきゃいけないんだろうけど、知らない。
俺はなんて悪いやつなんだろう。
ちゃんの落ち込んでる姿が愛おしくて、かわいくてたまらない。


「ねえ、大丈夫?泣かないで」


背徳感でぞくぞくする。
こんなやさしい言葉を囁かれてしまったちゃんは余計に涙をこぼし始める。
かわいくてかわいくて、食べちゃいたい。
こぼれていく涙がもったいなくて、泣いてるちゃんがもったいなくて、柔らかそうなそのほっぺたをぺろぺろ舐めちゃう。
あ、しょっぱい。
かわいいかわいい、君の味。


「あ、や、やだ」
「やじゃないでしょ?」


舐めるたびに身を震わせるちゃんがかわいくて、もっともっとって俺におねだりしてるように見えちゃう。
ああ、こんなにも欲望に忠実な俺を許して。
君をたくさん愛したくてしょうがないんだ。


ちゃん、僕はちゃんのことが一番好き」
「……う、そ」
「他の誰かなんていらないんだ。ちゃんが欲しい」
「ひぁ・・・・ん」
「だから」
「た、か・・・・」
「だから、僕だけを見て」


ようやく欲に濡れたちゃんの瞳を捕まえた。
そう、俺だけをその瞳に映して。
俺だけのことを考えて。
俺だけを感じて。


ちゃん、愛してる」


甘い罠で君を捕まえた。
もっと、もっと俺に溺れて。
ね?お願い。




















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