一人より重なりたい に会いたい。 何の虫の知らせだろう。無性にに会いたくなった。 もうこんな夜も更けきってしまっているし、寝間着姿になってとっくに布団の中にいたと言うのに一度芽生えた衝動はどうあっても抑えきれなかった。 人知れず布団を抜け出す時の、この気持ち。 暗くてもやけに物はっきりと見えるし、何でも一発で仕留められるくらいに神経が研ぎ澄まされている。 音も立てずに、廊下を走る。 もう居ても立っても居られない。 どくりどくりと、身体中を駆け巡るのは血液だなんてありふれたものなんかじゃなくてへの愛おしさや、好きだって気持ちとか、切なさとか、柔らかい匂いとか、めちゃくちゃにしてやりたい欲望だとか、もう全部が交り合って液体になったものだ。 ドキドキなんて音でもない。ぞくりぞくりと、それが循環するために必要なのは、脊髄に違いない。たまらない。泣きたくなるくらいにに会いたい。 「」 口に出してしまえば、もっと液体がめぐるのは加速してしまいせかされる。 自分の髪の毛が、はらりと視界を邪魔するのも気にならない。あっという間に、私はの部屋の前に立っていた。 眠ってしまっているだろうか。 それとも、起きているだろうか。 部屋の明かりは落ちている。 震える指先で、部屋の戸をあけた。 音もなく体を僅かな隙間から滑りこませれば、耳を打つ、くぐもった声。 「………」 胸一杯に息を吸い込む。 に会いたくてしょうがなかった体が、の匂いやたまらない気配で充たされていくのを感じた。 本当、たまんないな……。 情事の時の、あの特有の匂い。それと、と二人でするエッチの時とは違う緊張感。 ピリピリしてる癖に、だらしないの気配。 「」 声をかけた瞬間、丸まった布団がびくりと跳ね上がった。 恐る恐るといった風に、の声がその中から聞こえてきた。 「み、き……えもん?」 「、私以外に誰か来るとでも思ってたの?」 「ちがうけど」 明らかに狼狽している声。必死に冷静を装うとしていても、動揺しているのはバレバレで。 思わず、嬉しくなる。 分かりやすい、かわいい私の。 大好きなんだよ、が。 そう、 「なにしてるんだよ」 「ひゃぁッ……や!み、みないで!!」 布団を無理やりめくってやれば、明らかに乱れた裾。 白い太ももが見えてる。 そして、必死に隠そうとしたってバレバレな指先の悪戯。 ぴくりとも、身動きできないは頑なに足を閉じ、隠そうとしている。 「一人で、シテたんだ」 「っ……」 うっすらと上気していた頬は、あからさまに恥ずかしさで真っ赤に染まる。 「私のこと、欲しかったんだろ?」 「………」 唇をかみしめて、黙秘を守ろうとするは、愚かでかわいい。 だけど、私たちこんなにも同じ気持ちだったんだってことが嬉しくて私はしょうがなくなってしまう。 「ね、」 ふるふると、無言で頭を振るのそばに、そっと跪く。 「私、の淫乱な所が好きだよ」 「違う!わ、私そんなんじゃ……ない」 消え入るような声で、否定するのに、どうして指を抜かないんだろうね。 ちょっとだけ、動いているのは気のせいかな? 「独りで出来ないなら、私が一緒にしてあげるよ」 「あっ!」 身動き一つ取れないままのの膝頭を掴んで、無理やり開くと、つっぷりとの指先が埋まった下半身が露わになる。 か細い指で、なにを想いながらシテたんだろう。私のことを考えていてくれたら、もう何だって許してあげる。 したくてしょうがない癖に、私に言わずに一人でこっそりと慰めていたことだって許してあげるから。 ゆってごらん。 「私のこと考えてて、こんなにびちょびちょにしてたの?」 「うっ、あっ……」 「恥ずかしいのに感じてるんだろ?」 「ふ……」 声を殺したとこで、鋭敏になった神経はの一挙一動余すことなく拾い上げていく。 まじまじとの指が自分自身を慰めていたのを堪能してから、そっとその手に自分の手を重ねた。 見えにくいけど、を後ろから抱きかかえるようにしてやれば、まるで自分でしている続きみたいだろ?そうやって耳元で囁いていてやると、感じてしまうのか、びくびくの体が震える。 「ほら、ここ、が一番好きな所だろ?」 肉芽へとの指先を導いて、押しつぶすようにしてぐりぐりといじってやると、もっと奥へ、もっと欲しいとの中がヒクヒクと動く。 くちゅくちゅと、溢れる汁で私との手が濡れていく。 物足りないのか、私の手に強要されることもなくおずおずと動きだしたの指先をダイレクトに感じ取り、私もたまらなくなってくる。 もうとっくに硬くなった股間をの柔らかいお尻に擦りつけると、その硬さに興奮したから吐息が零れた。 どうしようか。 さっきの答えまだ聞いてないから、まだあげたくないんだ。 のいやらしい所、全部見たいんだよ私は。 「ね、。言ってよ、誰のこと考えて一人でシテたかさ」 「あっ、やッ……」 ちゅぷりと、中から指を抜いても、の指は一人きりで自分の中を行ったりきたり。 私のはそれを加速させるかのように、のヒダを指先で行ったり来たり。ぐちゅぐちゅにちゅにちゅと湿った音が、どんどん私たちをイヤラシイ気持ちにしていく。 「ひゃ、っ、み、きぃ……みき、気持ちいいよぉ」 「かわいい」 ちゅっと、かわいらしい耳たぶに口付けすると、それだけで感じている。 「とま、ん………ない」 「いいよ、乱れるのこともっと見せてよ」 浅く息を繰り返し、気持ちよさに身をくねらせて喜ぶの体をひしと抱いて、私も片手で自分のを布の上からいじり始める。 二人こんなにぴったりと密着しているのに、こんなに感情も気持ちも考えも重なり合っているのに奇妙な寂しさ。 だけど、満たされていく妙な興奮。 「変態ながたまんない」 「三木、三木ぃ……キス、して」 動かす手を速めながらキスを繰り返した。 二人で一緒にイッたら、もっと激しく二人で重なろう。 そうしたら、もっと気持ちいに違いない。 「もっと欲しい?」 素直に頷けるなら、たっぷりご褒美は用意してあるから。 終 |