テスト前日ですけど?






























本日何度目かの中断。
筆から墨がにじみ出し、半紙の上に墨だまりが出来てしまった。
じりじりと拡がっていく黒い輪。


「あー、もう無理」


筆をほっぽり出して、後ろにばたんと倒れた。
明日がテストだと耳にタコが出来る程友達から聞かされてるから、絶対にテストがあることは分かっている。いわゆる抜き打ちテスト。
みんなは実習が得意だから必死になって、先生から問題用紙を盗み出そうとやっきになってる。
だけど、私はこうして机に向かって忍たまの友と筆と半紙とにらめっこ。
いまさら問題用紙を狙った所で、相手はあのシナ先生だ。


「絶対、5倍返しで痛い目見る」


以前、先生にされた仕打ちを思い出してしまい、悪寒が背筋を走った。
そんな目にあったことがあるからこそ、私は残された手段をこうして実行しているのだった。
……勉強。
だが、進むわけもなく、ぐだぐだと同じ頁をめくっては思い出したように文章を写し取っているだけだった。
そりゃ、頭に入るわけもない。


「あーん、もうやだよー」


仰向けのまま、じたばたと体をよじらせている私は、まさに今自分の状況を体現していること間違いない。


「おい、いるか?」
「あ、三木」


障子が開いて逆さの三木が現れた。
私の姿を見るとすぐに三木はあきれたように苦笑する。


、お前何やってるんだよ」
「だって三木ー!明日試験なのに何にもする気が起きないのー!」
「ああ、それでか」


どうやら私の部屋に来るまでに、妨害行為や罠が今日に限って少なかったことが不思議だったらしい。
そうか、みんなシナ先生の所に行ってるのか。
もしかしたら、私だけか……勉強してるの。


は勉強しなくていいのか?」
「してたけど……」
「けど?」
「見ての通り飽きちゃった」


らしいなと、また笑われてしまった。
なんだよ、田村三木ヱ門は笑ってばっかりだ。


「三木ー、私にやる気ちょうだいよ」
「………いいよ」


しばらく思案した後、ゆっくりと三木ヱ門は微笑みながら答えた。
だけど、その笑みには何か含まれてそうで、ちょっと嫌な予感がした。
すると、案の定私の顔を覗き込むように三木ヱ門が頭の上に膝をついた。


「私のやる気ちゃんと受け取れよ?」
「あ」


そして、そのまま視界いっぱいに三木ヱ門のあごからのどが広がったと思うと、唇に柔らかい感触。
ちゅ、ちゅう、ちゅと、リップ音をたてながら立てつづけに落されていく唇。
啄ばむように、唇をつままれては離される。
くすぐったくて、柔らかくて、気持ちいい三木ヱ門の唇が何度も触れては離れる。


「ふぁ……ん、むぅ、三木」


唇の端からほっぺた、額まで、顔中にキスの嵐。
首筋に口づけられた時は、くすぐったくて思わず声をたててしまった。
最後に、たっぷりと唇にキスしてから三木は顔を離した。
逆さの三木とまっすぐに視線が交る。


「どうだ?私のやる気で、やる気でただろう?」
「……でた」
「ふふっ、?」
「…で、でたけど………」
「でたけど?」
「べ、別の……やる気でた」
「じゃあ、することは一つだろ?」
「う…」


頬を三木の両手に挟まれて、ぺろりと唇を舐められた。


、かわいい」
「ば、馬鹿!責任とってよね!」
「言われなくったって、とってやるよ」

































元気が出るようにの短文
久々の甘い系