闇の中で捕まえて

























。楽しいな」
「ん」


三木ヱ門の手が肩を掴んで私を座らせる。
無言の圧力を受けて、おとなしく座る姿を見て、至極楽しそうに三木ヱ門は口角を吊りあげた。
ごくりと、自分の咽喉がなるのばかり聞こえた。
その様子を充分に楽しんでから三木ヱ門は懐からしゅるりと長い布を取り出した。
黒い布。
それをしゅるしゅると音を立てて手の中で行ったり来たりさせる。


「さ、じっとしてろ」


どきりどきりと、心臓が悲鳴を上げてるのにほんの身じろぎすらすることができない。
あ。
視界を埋めていく黒。
最後に右目が映した三木ヱ門の顔は極上の笑みを浮かべていた。
何も見えない。
完全に気配を殺した三木ヱ門が最早目の前にいるのかすらわからない。
どうしていいのか分からず、上ずった声で三木の名前を呼んだのに、返事すらしてくれない。


「っ……み、きえんっ!?」


開きかけた唇に不意に触れた冷たい感触。
細いそれがつうっと、唇の形をなぞった。
三木ヱ門の、指だ。


……」


それなのに、突然耳元で熱っぽい三木ヱ門の声が私の名前を呼ぶ。
驚いて、息をのんだ。


「ひぃあっ!?」


ぞくりと、耳の中へともぐりこんでくる三木ヱ門の舌は、指先と正反対で熱くてぬめぬめしていた。
耳の中を侵される感触に微かに身をよじると、今度はかしかしと耳に噛みついてくる。
たったそれだけなのに、甘ったるい疼痛がじわりじわりと音を立てて広がっていった。


「んっ、ふ」


鼻を抜けて出てしまう、自分じゃないみたいな喜びを含んだ吐息が恥ずかしい。
それでも、三木が私を許してくれることはなくて、予想もつかないところから彼の指先が伸びてきて私を自在に翻弄した。
服を身につけているのか、三木ヱ門はどこにいるのか、彼はどんな顔をしているのか、私はどんな痴態を彼に見せているのか全く分からないままに、もどかしい熱がこの体に蓄積されていく。


「み、きっ」
「……」


微かに空気が揺れて、初めて三木が微笑んだということだけ分かった。
だけど


「みき……」


それだけで、この暗闇の中では満たされ思わず顔をゆるめた。
はらりと、頬をすべる冷たい感触で涙が滑ったことも感じることができた。
でも、それよりも


「んん…ふぁ…む」
「はぁ……」


狂おしいほどに抱き締められて、息をすべて吸い取るほどに舌をからめられて口付けされた。


「そんなに誘っておいて、
「あっん」
「覚悟しろよ?」


笑いを少し含んだ彼の声が、加虐心たっぷりに微笑んだ。


「私だけ感じてろ」
「んんんっ!!」













































負けた。
いろいろと翻弄されました。
まさか……芯様にささげる鎮魂歌^^