理解不能の破壊衝動



























普段、食満留三郎は、至って普通に接してくる。


「よお、
「あ」


片手を上げて、一年生をぞろぞろとひきつれた食満は楽しげに笑いながら声をかけてくる。
私に気付いた一年生たちは食満の真似をして片手を上げてこんにちはと、元気よく挨拶した。作兵衛も、はにかみながら手を上げて挨拶する。
仕方がなく、手を振り返して彼等を見送った。
これが、私と食満留三郎の「普段」。
当り障りもない、なんの変哲もない同じ学校にいる顔見知り程度の関係。
誰がどう見たって、そうにしか見えない。






























必死に縋りついた漆喰の壁の白さにめまいを覚えてしまう。
掴む場所もなく、汗ばむ手のひらを張りつけるように、それこそ、押しつけられるように縋りついていた。
後ろから突き上げられる律動に声を殺して、眩暈をおこす。


「あっ、あっ、あっ」


壊れる崩れる一歩手前。
あと一息、あと一息で楽になれる。
苦しさも悲しさも切ない想いなどかき消されて、喜びと狂いに満ちた感情でこの身を満たすことが出来るのに。
どうしてそうならない。





背中に押し付けられた体が熱い。
湿った首筋に、同じように汗ばんだ頬が擦りつけられると、ぞくりと壊れ


「はっ、」


体の中からずるりと引き抜かれる熱。
壊れる一歩手前で器用に止められる。
壊そうとして、決して壊さない矛盾に満ちた行為。
頭がキンキンと悲鳴を上げて、目の前の白さに眩暈が。


「くっ」


数度湿った様な、自身を擦る音がしたかと思うと、露わにされた尻のあたりに粘っこい熱が放たれた。
粘着質に肌に張り付いて、ずるりと感触を残しながら滑る感触が不快だ。
不快でしかないはずのその感覚すら、達することのできない敏感な体が反応するのが恨めしい。
振り向きはしないが、食満は笑っているのだろう。


「また、明日……壊してやるよ」


汗ばんだ頬を撫でてくる指先も、しっとりと濡れていた。
鼻をつく雄の匂い。
もう壊して。
行ってしまおうとする食満の手を掴むと、振り向きもせずに払われた。


「また、明日……な」


毎日毎日毎日、飽くこともなく壊され続ける毎日。
壊したいのか、狂わせたいのか、何をしたいのか。



















解らない。






































食満留三郎という存在を焼き付けたいのか。