待ってます
用具倉庫に行ったままいつまでも戻らない食満を探しに、重い腰を上げた。
倉庫の近くまで来ると、賑やかな一年生の声。
そうっと、気付かれないように木の上に登って、その様子を見下ろした。
喜三太に、しんべえ、平太が嬉しそうに、食満の足もとにまとわりついていた。
あ、かわいい。
「せんぱーい!いつものやって下さいよ〜!」
「くださいよ〜!」
「お願いします〜」
なんだろう、いつものって。
食満ってば、困ってるような顔してくるくせに笑ってる。
「おら〜!お前らいくぞ〜!?」
「「「はぁ〜い!!」」」
背中にしんべえ、両腕にそれぞれ喜三太と平太をしがみつかせて持ち上げた!
わあ、けっこう重いだろうに。
しかも、そのままぐるぐる回ってる!
すごい歓声と笑い声が上がった。
「食満〜」
「お、。なんだ?」
「ん〜、ちょっと寂しくなっちゃったから食満探しに来たの」
「っ……お、おお。そうか」
ちょっと赤くなってる食満。
照れてる照れてる。
照れされることができるのは私だけだなんて、嬉しくなった。
「ねえ、さっきの一年生たち」
「ああ、用具委員のか?」
「そうそう、あの子たちにやってたの、私にもやって?」
「はぁ?」
まあ、いいけどよと、あまり気乗りしない顔で食満は承諾してくれた。
「さあ、じゃあ、どこがお勧め?」
「ん?あーえーっと……背中かな?」
「わかったぁ」
早速、食満の後ろに回ってその首に腕をまわしてしがみつく。
「重かったらごめんね〜」
「大丈夫だ。あの三人よりは軽い」
「えへへ〜」
いくぞと、掛声と共に食満は勢いよく回りだす。
思った以上に速くて、声を上げて食満の背中にしがみついた。
でも、楽しくって嬉しくってわあわあ歓声を上げてしまった。
そして、ようやく止まった時には私の方がへろへろになってしまって、そのまま食満にしがみついていた。
「、どうしたんだよ?」
「ん〜、別に〜」
「そっか?」
食満の背中にすりと、頬を寄せた。
思っていたよりも、たくましい体。
私とは、全然違う男のからだ。
「いいな、食満」
「なにがだ」
「いい体してる」
「……だって、いい体してる」
「ははは、そう?」
ぎゅうっと、食満の背中に胸を押しつけてみた。
ぎくりと、体を硬直させる食満。
「食満って、いいお父さんになりそう」
「あ、ああ」
「さっきね、一年生たちいいなぁって思っちゃった」
「あ、ああ」
「でね、私も一年生になったら、食満とああやってできるのかな?って思ったけど」
でも、このままでもできたからよかった。
と、言葉を締めくくった。
「よし!なんか元気になった!」
「は?お、おい?」
「じゃあね!!」
ひらひら手を振って、くのたま長屋に走っていく。
さっき、食満は心ここにあらずって感じだったから、きっと今夜はもやもやするんだろうな。
そのまま、私の所に忍んでくればいいのに。
「あ〜、食満のばかっ!」
それでも、寝るときに彼が来てもいいように身づくろいをしちゃうのは切ない乙女心だ。
「……」
「あ」
終
なかなか手を出さないと思う。
食満奥手w
続きを書くか・・・・どうするかw
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