夜明けまで それこそ、初めは出逢えた時に挨拶が出来ればそれだけで、胸が苦しくなるくらいだった。 「おう、」 「あ!文次郎先輩!おはようございます」 「ちゃんと鍛錬しているか?」 「はい!ギンギンにやっています!」 そうして、はにかんだように微笑んでくれるだけで、顔中に熱が集まってきてそれをごまかすので必死になるくらいだったのに。 今では、こんなにも欲が出てきて、もっとそばで、もっと見ていたいと考えるようになってしまった。 「おい、」 「……」 「?」 隣をふと、見るとよほど疲れていたのか机の上に突っ伏して眠りこけている委員会の面々。 全く、こいつらは全員鍛錬が足りてねぇ。 「はぁ…」 それでも、その月を見上げてみれば大分夜が深まっていることが分かり、こんな刻限までよく頑張ったとも思ってしまう。 くあっと、あくびをかみ殺して、背筋を伸ばす。 右隣から順に見ていくと、田村、左吉、団蔵、左門…そして、左隣の。 ほっぺたが机に押し付けられて、顔が押しつぶれてるのを見て、思わずほおが緩む。 その光景にひどく癒されて、小さく心臓が音を立てる。 「ふぁ…んー」 じっと、見つめていたの唇がうっすらと開いて、微笑んだ。 「っ!!」 「もんじ、ろぉ……せ…ぱ」 思わず、釣られて一緒に微笑んでしまった。 手をのばして、そっと、の頭をなでた。 気持ち良さそうに、うー、と声を上げるとそのまま、また深い眠りへと落ちて行ったのか、ぱたりと何も言わなくなってしまった。 「くそ……俺も、まだまだ鍛錬が足りねぇな」 苦笑交じりにぼやいても、またそれもそれでありなのかと、胸の中でただただ幸福な感情が満ち満ちていく一方だった。 名残惜しい柔らかさから手を離し、また一人ばちりと玉をはじいた。 もうじき夜も明ける。 「さあって、やっちまうかな」 ぐるりと、肩を回してから再び計算へと戻った。 夜が明けるころには全部終わるだろう。 それまで、もうしばらく……… 「もんじ……せん…ぱい」 こうしていよう。 終 まともな方のもんじ。 だが、乙女もんじ^^ |