まんじゅうこわい




































「なー、、後で…お、俺の部屋来ないか?」
「え?なんで?」


突然の文次郎からのお誘いに、は首をかしげて文次郎をまじまじと見つめた。


「べ、別に……ただ、茶でも飲むかと思ってよ」
「文次郎とお茶?熱でもあるの?」


顔に似合わないことを言い出す文次郎に、はケラケラ笑いだしてしまった。
それが、気に入らないのか文次郎は眉間にしわを寄せて機嫌悪そうに口を開いた。


「お前が好きな饅頭が手に入ったんだよ」
「行きます!」


素早く挙手して「ごめんね〜、文次郎〜」と媚を売り始めるに、悪い気はしない文次郎は苦笑しながらの頭をぐりぐりとなでた。


「おし、じゃあ後でな!」
「分かった!じゃあ、しっかりばっちりお饅頭よろしく!」
「わーってるよ!」


二人はそう言ってそれぞれの教室に戻るために別れたは気づいていなかった。
の後ろ姿を見送った文次郎が、彼女をなでた自分の手をじぃっと眺めた後にスンッと匂いを嗅いでいたのを……




































「おじゃましまーす!」
「おう!入れ入れ!」
「あれ?仙蔵は?」
「ああ、なんか委員会かなんかだって言って出て言ったぞ」
「ふーん…そっか」


無防備には文次郎が待ち受ける部屋の中に入っていった。
すでに用意されていた湯呑の前にちょこんと座って、文次郎に早く早くとねだる
いつになく上機嫌な文次郎はゆっくりとの向かいに座って、すでに用意してあった饅頭を差し出した。


「ま、まあ、ギンギンに食べろ」
「いや、ギンギンにってどうやって食べるの!意味わかんないよ!」


は笑いながらも、その饅頭をぱくりとかじる。


「っっ!!!……おいし〜〜!!」
「だろ?」


目をきらきら輝かせては饅頭にかじりついた。
小ぶりな饅頭だったため、やすやすと一個を平らげてしまったはぺろりと自分の指を舐めて、「文次郎、もういっこないの?」と催促までしていた。
いや、それほどにの好きな甘味屋の饅頭はおいしいのだ。



「ハァハァハァ…」



そんなを凝視していた文次郎の息が荒くなった!
なんていうか、目がギンギンだ!
しかし、は「んっ、もう一個」と、手を出している。気づいていないのではない。
こんな文次郎を目にするのは日常茶飯事になっているために、気にしていないだけなのであった。
文次郎は息を荒くしたまま、にもうひとつ饅頭を差し出した。
ひょいと、それを受け取るとまた無言でかじり始める


「…、お、俺の美味いか?」
「………」


無言でこくりと頷く
ぐはっ!たまらん!と文次郎が微かに呻いていることなど気にもして、いない。


「ふは〜っ、おいしい!本当美味しい!!文次郎、お茶飲みたい!お茶!」
「っっ、の、飲みたいとか!用意するから待ってろ!」


何か、ありそうな言動な割には、文次郎はいたって普通にお茶を入れた。
は満足そうに目を細めて、天井を眺めていた。


「おらよ」
「あっ!ありがとう!!」


湯呑を受け取ると、じんわりと熱が掌に伝わってくる。
それがいけなかった。
さほど熱くないと踏んだは、喉の渇きも手伝って、ぐいっとお茶を飲み込んだ。


「んっ!!!!んぐっ……ぅ……」
!?どうした!!」
「あ、あっつい!!!いやぁああ!べ、べろ!べろ火傷した!」


じんじんとべろが痛い!
確実にやけどをした。
べろを火傷すると地味に痛いし、このあと熱いものを飲んだり食べたりするだけでひりひりと痛むことになる。は、もう絶望的な顔をして嫌だぁっと騒いでいる。
そんなの肩を押さえて、文次郎は慌ててこう言った。


!見せてみろ!」
「んっ」


涙目のはべろを出した。


「ああ?良く見えないから、ちゃんと口開けろよ」
「べ、べろの先の方っ!」
「分かったから、ほれ」
「んんっ」


薄く口をあけて、べろをやんわりと差し出す
ああ、確かにのべろの先は他の場所と違ってうっすらと赤みを増している。


「あー、本当だ。こりゃ火傷だな……よし、俺が治してやる」
「ん、ほ、ほんひょ?」
「おう!」


そう言ったか言わないかのうちに、文次郎は素早くのあごを片手で捕らえると、そのままむちゅうっと唇を重ねた。


「んんんん!!!!?」


ぬるりとした感触が口の中に滑り込んでくる。
火傷したばかりのそこを、文次郎の舌が執拗に攻めてきて、じりじりと痛みを感じるのに、舌を絡めとられてぬるぬるとこすり合わせられると、何とも言えない感覚がぞくりと背筋を走り抜けてしまう。


「ふ、んぁ……ぅあ」


鼻から甘ったるい声が抜けてしまう。
それに、気を良くした文次郎はゆっくりと舌を引き抜き、やわやわとの唇を甘噛みした。


「やっ……な、に……すんのよ」


今までこんなことされたことのないは、微かに息を乱して文次郎を睨みつけた。
しかし、文次郎にはその行動すら逆効果だったようだ。


「ふはっ!……エロ!たまらん!もんじ、好き!」
「わっ!な、なに!!?やだ!!!?文次郎どこ触ってんのよ!」
「ぱーくぱくチュぎゅっ!!!」
「ぎゃ、ちょ、意味不明だから!!というか、揉まな……ふぁっ!?」


鼻息を荒くした文次郎が勢いあまってを押し倒し、意味不明の言葉を言いながらの胸を揉むは、口は吸うわ……


「はぁはぁはぁはぁ……、甘……」


饅頭食べてたと、言い返してやろうと思い、口を開けばまた舌を絡めとられ、


くちゅくちゅと、いやらしい水音ばかりがの耳を犯していった。





















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「も…文次郎と饅頭なんて絶対食べない!!!」
「ま、饅頭プレイか……いや、おはぎも……・ぎ、ギンギーン!」
「うわっ、やだって言ってるでしょ!ていうか、あんこから離れろ!このギンギン!!!!!!!」
「ギンギンに俺と愛し合いたいんだなっ!!!!!」
「いやぁあああああ!!」
が、お、俺に喘いでる!!!」
「違う〜〜!!!!」































































文次郎なら腹いっぱいあんこを食べれるはずだと、信じています。
変態って、どこまで行ったら変態なんだろう。
これは、変態?^^