ざらざらしてる?
最近どうもおかしい。
ほら、耳とかしっぽとかはおかしいのは分かってる。
だって、しょうがないじゃない?
生えてきちゃったんだもの。
それよりも、その異変にもみんながようやく慣れてきたかなぁ?って思ってた矢先。
どうにもこうにも、変な行動をとるようになったアイドルが二人。
タカ丸と綾部。
なにがあったのか知らないけど、やたらと赤い首輪を私につけようとしてきたり。
すごい激しいスキンシップを試みようとして来たり。
いや、普通に恋人同士でもなければ、しないようなことをしようとしてくる。
あの二人は。
もともと、綾部はちょっとおかしいけど、タカ丸はまともだったはずなのに。
そもそも、そうなったのは朝起きたら、異様に体が痛い日の次からだったな。
どんな成長痛だよ!と、一人で突っ込みを入れていたところに首輪を持って走り込んできて以来だ。
綾部は前以上にしっぽへの執着心を燃えさせて、タカ丸は首輪を付けさせたがって私を追いかけまわす始末だ。
「ああん!もう!なんなのよ!!」
ちなみに、今も絶賛追いかけっこ中だったりする。
遠くから、かすかにタカ丸が私を呼ぶ声が聞こえる。
私は、屋根の上で、ぶんぶんしっぽを振った。
本当にめんどくさいなぁ。
「ていうか、首輪とか、あんなのつけたら私動物みたいじゃない!」
しっぽがぶんぶん。
耳がぴくぴく。
そう、私はお怒りなのだ。
「ちゃ〜〜ん!どこぉ〜?」
あ、タカ丸の声。
「ねぇ〜、これつけてよぉ〜。ちゃ〜ん!僕とにゃんにゃんしよ〜〜〜?」
……あれ、あんな大声で言ってて恥ずかしくないのかな?
ていうか、首輪以外になんでねこじゃらし持ってるのよ。
私、猫じゃないって。
「ちゃ〜ん?うわっ!?」
あ、落ちた。
綾部の落とし穴だな。
近くの茂みからガサガサと綾部が出てきた。
「おやまあ、タカ丸さんじゃなくて、を捕まえようと思ってたのに」
「あいたたたた……はは、僕が落ちちゃった」
「ちゃーんと目印も置いてあったんですよ?」
「え?」
「落とし穴の四方にめざし」
だから、私猫じゃないって。
これ以上ここにいたら見つかっちゃうな。
自分の部屋に戻っても、すぐ見つかっちゃうし……
あ、そーだ!
足音をたてないようにそっと、屋根の上を走った。
「う、あ、!?」
天井裏から滝の部屋にお邪魔した。
綾部も同室なのに、あんまり戻らないからここなら見つからないと踏んでの選択だった。
ちょっと、うるさいのを我慢すれば快適のはず。
「滝〜、ちょっとさ、ここにいてもいい?」
「っ!!い、いいぞ!ようやく私の所に来てくれたのだな!」
がばっと、腕をひろげて何かを待ってる滝を無視して、床に座った。
はぁ、ようやくくつろげる!
ぐうっと、腕をのばして伸びをすると、それに合わせてしっぽと耳も伸びる。
あ〜、気持ちいい。
ん?
「なに?滝?」
「……い、いや、な……」
隣に座る滝に視線を送ると、いつも通りちょっと変な態度。
いやいや、またまさか自分が美しい理由とか、どうして学園一優秀なのかとか聞かされるのかなぁと、思っていたが、私の予想を裏切って滝は全く別のことをしゃべりだした。
「あ、や、そのだな……あ、綾部から聞いたのだが」
「ん?なにを?」
「あの、その、綾部とタカ丸さんと」
「うんうん」
だんだんと声が小さくなっていって、しまいには聞き取れないほどにごにょごにょと顔を赤くさせて何か言ってる。
この耳力をもってしても聞き取れないなんて、滝、何しゃべってんだろう?
あんまりにもよく聞こえないから、滝へ耳を近づけてみた瞬間、
「だぁ〜〜!!!」
「うわっ!?」
滝が急に襲いかかってきた!!
がばっと、両肩を押さえつけられて、床に押さえつけられたと思ったら、そのまま無理やり口付けされた!
な、なにこいつ!!?
驚いて、とっさの行動がとれないことをいいことに、滝は私の唇を割って、舌を入れてきた。
固く歯を食いしばっていると、開けろ言わんばかりに歯列をなぞられる。
もどかしい、ゆるい刺激に耐えられていたはずなのに、急なことだったから私の呼吸が先に悲鳴を上げた。
「ふぁっ、あ・・・・んん」
空気を吸おうと、口をあけてしまった隙をつかれて、舌を絡められる。
くちゅくちゅと、耳に直接音が響いて、変な気になってきちゃう!
慌てて、両手を滝の胸に押し当てて腕を突っ張った。
ようやく滝と少し離れて、透明の糸を引きながら、くちびるとくちびるが離れた。
「ちょっと!!た、き!な、な、何するの!!?」
「ほ、本当だ……」
「勝手に口付けしてきて何が本当よ!?」
「あ、綾部が言っていたのだ」
「何をよ!」
ぼうっと、した瞳で私を見つめながら口付けの余韻に浸ってる滝。
くそ、口付けしちゃったよ。
そんなことより、なんでしたかのほうが問題よ!
私は、口付け一つでめそめそ泣くような女じゃないのよ!
「のべろが猫みたいに少しなってると」
………
はい?
べろが?
猫みたいに?
いや、なんで綾部が知ってるのよ。
たしかに、普通だったときよりも、ざらざらしてるけどさ。
「タカ丸さんもあのべろはたまらないよねって言ってたから」
「・・・・・た、タカ丸!?」
「わ、私だってのべろを味わいたんだ〜〜〜!!」
うわ、盛るな!!
再び口付けようとしてくる滝と必死の押し合いを繰り広げてる最中なんで、あの二人が私の舌のことを知っているのか、考えを巡らせた。
「だぁ〜!しつこい!!!」
奥の手で、足を滝の股の間に滑り込ませて、急所を蹴る要領で滝の体を投げ飛ばした。
そして、そのまま悶絶している滝を放置して部屋から脱出!
私は走りながらなんであの二人が私の舌のことを知っているのか考えを巡らせていた。
それと、あの異常な激しいスキンシップとなんか関係あるのだろう!
くっそう!
なんなのさ!
追いかけっこにもう一人増えそうな嫌な予感を持ったまま私は走った!
「とりあえず、うがいだぁああ!!」
終
発情期の時の記憶は(都合上)ありませんw
そして、だんだんとかわいそうになっていく滝。
さあ、次の犠牲者は!!?
誰がいいでしょうかねw
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