寄り添う事




































蔵独特の静けさと冷たさの中、退屈そうに三木ヱ門はあくびをかみ殺した。
つま先を遊ばせて、足を組み替えた膝の先にあるの俯いた顔へと視線を突き刺した。


、今日も私のことを手伝ってくれるんだろ?」


三木ヱ門の声に反応を見せないのことなど気にせずに、組んでいた腕を崩した。
その爪がそっと撫ぜたのは自分のそばに置いてあった一門の、石火矢。
に投げつけられた声とは打って変わって、優しい声色がその唇からこぼれ出る。


「ユリコ、ユリコ……大好きだよ…」


俯いているがその声をどんな顔をして聞いているのか、三木ヱ門には分からない。
しかし、それでもなんの不安すらない。


、舐めろ」


何を、という言葉はなかった。
三木ヱ門は優しくユリコを自分の前へと移動させ、ゆっくりと腰を落ち着けた。
は顔を微かに上げると、目の前に置かれたユリコへとようやく目をやった。
ごくりと、喉を鳴らす音。


「早くしろ。ユリコが待ってるだろ?」


苛立ちではなく、楽しさばかりが際立つ声色だった。
僅かに動いた頭は、頷いたのだろうか、はおずおずと手をユリコへと伸ばした。


































火薬独特の匂いがする蔵の中、この中にはあってはならない水音が微かに耳を打つ。
ぴちゃり……ぴちゃり……と、その音の方向を見つめている三木ヱ門は悠然と笑みを深くしていた。
彼が愛してやまない火器のユリコの側へとひざまずいて、黒い鉄の砲身へと舌を這わせていた。
が舐った部分は、僅かに入る日の光でぬらぬらと光っていた。


「はは、雑巾みたいだな」


そう言われたは、一瞬動きを止めたが、すぐにまたユリコの事を舐めはじめる。
微かに、息が荒くなっているのは気のせいではないだろう。
その音を三木ヱ門が聞き逃すはずもなかった。


、こっちを向け」
「……や、だ」
「だめだ。向け」


反抗の言葉に苛立っているのを隠しもせずに、語気を強めて三木はに言い放つ。
は、それでも三木ヱ門の方を見るのを躊躇したが、諦めたように三木ヱ門へと顔を向けた。


「……、なんて顔してるんだよお前」
「うっ……ぁ」


の瞳は潤んで、頬も赤く染まっているのが見てとれる。
そんなをあざ笑うかのように言葉を投げつけていく三木門。


「私のユリコを舐めていて、興奮したんだろ?」
「ちが……」
「したんだろう?」
「は、あ……ん」


ぐいっとの髪を掴み上げ、痛みにが顔を歪めるのも気にせずに唇をそっと耳に寄せた。
微かに触れるか触れないかの所で、ゆっくりと囁いた。


「とんだ変態だな、
「ふぁ……」
「私が欲しいか?」
「…あ、ぅ、ほ……し……」


それは、幾度目かの歓楽の音だった。
ぱっと、手を離すと無様には床に伏し、腕だけで上体を上げた。
そんなが見たのは、再び元の位置に座りなおした三木ヱ門だった。先ほどと違うのは、彼の足はもう組まれていない。


「エロイ顔だな。そんなにもの欲しそうな顔して」
「んっ……」
「さ、はどうしたいんだ」
「なめ、た…い」
「ばーか」


その声には、笑いが含まれていた。
は、おずおずと三木ヱ門へと近付いて行くと、足の間に膝をついた。
そして、手を伸ばして三木ヱ門の腰帯に触れた。
後ろ手をついて、三木ヱ門はの一挙一動を楽しそうに見ているだけ。
声もかけられないため、もたもたと三木ヱ門の様子をうかがいながらはそれを解いた。


「あ、の……舐めて……いい?」
「ん?」
「三木の、舐め……たい」


三木ヱ門の睫毛が震えて、目が細められた。
は、その表情を見て安心したのか、白い布に覆われたそこに手を伸ばした。
邪魔になってしまう布をずらすと、温かい三木ヱ門の雄が現れた。
躊躇もなく、まだ柔らかいそれを両手で支えると、は一気に口に含んだ。


「んっ、んっ、んん、ふぅ……んぅ」
「………」


ちゅうちゅうと三木ヱ門の陰茎に吸いつくようにして、刺激していく。
吸い上げる度に、舌を懸命に動かして三木ヱ門を喜ばせようと頑張る
すると、それに答えるように、硬さを持ち始めた陰茎。


「はっぁ……」


一度口から出すと、三木ヱ門のそれは手で支えなくてもの方を向いていた。
それが嬉しいのか、は手を離して亀頭にちゅうっと口付けをした。
薄く唇を開けて、亀頭をぱくりと口の中に含んでしまう。すると、一度口を離したために先走りの味がはっきりと分かった。しょっぱいような、甘い様な。たまらない。
陰茎の薄い皮を唇で伸ばすようにすると、ふるりと三木ヱ門の体が動く。
それが、嬉しい。
もっと、もっとと、奉仕をする
再び口を離した時には、腹に突きそうなほどに立ちあがっていた。
先走りをぺろりと、舌先で舐めとっても、またすぐにじわりと溢れくてる。
嬉しさで、は三木ヱ門の股の間に頬ずりする。
鼻が陰茎にぶつかり、頬に、うっすらと生え始めた陰茎がくすぐったい。
湿った雄の匂いに、めまいを覚えた。


、いいこだ」


不意に、降ってきた声。
それはまぎれもなくへと向けられた、言葉だった。
柔らかく撫ぜられる頭。
顔を上げると、三木ヱ門がこちらを見ていた。





頭を撫でていた手が頬に添えられ、三木ヱ門の顔へと向けられる。
そして、三木ヱ門はもう片方の手で自身の熱を扱いた。


「くっ……んっ……」
「あ」


どぴゅっと、熱い白濁とした熱がの顔に飛び散った。
それを、満足そうに三木ヱ門は見つめた。
は、快感に淀んだ瞳で唇の端に付いた精液を舐め取った。


「甘いよ、三木」


じわりと、下半身が濡れる感触に震えた。


























一緒に居させて