ストーゲイ(友好的な恋愛)













笑わない




「ねえ、長次」
「……」
「この本かしてくれる?」
「(こくり)」
「ありがとう!」


無言、無表情の会話。
だけど、これが最高の愛情表現。
だって、図書室でこんなに大きな声でしゃべっても縄票は飛んでこない。
そう、彼が笑えないのなら、私が笑えばいいの。








喋らない



隣に並んでご飯を食べる。
時折触れ合う肩に、無上の幸せを感じ取る。


「それでね、仙蔵ったらその時」
「……」
「うん、しかも食満まできちゃってさ〜」
「……」


本当に、言葉なんていらない。
彼の指が存外おしゃべりだって私は知ってるから。
トントン、トン
ほら、こんなにも雄弁なのよ。








繋がない



本当は、手を繋ぎたい。
だけど、言いだせない。
私は知っているから。
お互いに忍術をしているんだから、それくらいわかってるのに。
彼の手は、とても傷が多い。
それを恥じてるのか、なかなか手を繋ぎたがらない。
むしろ、誇っていいことなのに。
ちょっと、さみしい。








会えない



やっぱり私たち上級学年ともなると、実戦を交えた任務が増えてくる。
自然と学園に一緒にいられる時間も少なくなる。
それなのに、七松や潮江が長次を深夜のトレーニングにたびたび誘うから……
会いたい。
一緒にいたい。
その一言が気恥かしくてなかなか言い出せない。
だからこそ、一緒にいる時には精いっぱい甘えて、甘えさせてあげるの。
それが、正しいって思うから。
























消えない






















「ん、ぅ」



久しぶりに二人きりになった。
七松は潮江と二人で夜トレに行ってしまったから、明け方まで戻ってこない。
乱れた着物から、私の素肌がのぞく。
痛いくらいに感じる長次の視線。
すうっと、私の肩に引き寄せられるように長次が口を寄せた。
強く、吸いつかれる。



「ちょーじ」



無言のまま、痕を残す彼。
口を放して、舌なめずりした彼は、いつもの彼とは到底似つかない。
ひどく、大人の男の顔をしていた。
耳元でささやかれる言葉に、体がじんっ、と痺れてしまう。


「…、いいか?」


今度は私の方が唖になったようにしゃべれなくなる。
体の大きな彼にのしかかられると、ただただ、されるがまま。
次第に熱を帯びる体も、彼のもの。


「……すごい、濡れてる」


胸の先を舐め上げられながら、下に指を這わせられるだけでも逝ってしまいそうな気になる。
私だけの長次の表情。
たまらないのは、私の方だ。


「長次、も、ちょうだい」


もっと、もっと、私に消せない痕を頂戴。
普段の長次と一緒でも我慢できるくらいに激しい痕を。
私も、貴方にたくさん痕を残すから。



































昼→友好的
夜→愛情的