食満 「」 「食満、鼻赤くなってる」 「さみぃんだよ」 お前だってと、鼻をつままれて二人で声を立てて笑ってしまった。 新年早々笑いながら始まるなんて、私たちにぴったりなのかもしれない。 「それにしてもなー、また新しい年が始まったのかぁ」 「ねー……始まっちゃったね」 「……」 「んー?」 ぎゅうっと、手が握られる。 あ、食満の手あったかい。 「また、今年もよろしくな」 「うん」 にっと歯を見せて笑うこの笑顔が好きだ。 なんだかさっきまで感じていた不安すらさっと夜気の中に溶けて行ってしまった気がした。 「私こそ、今年もよろしく」 「任せとけ、みたいなじゃじゃ馬は俺ぐらいしか面倒見れないからな」 その言葉にちょっと頭に来たけど、すぐに悪戯心の方が勝ってしまってにっこりと食満にほほ笑んだ。 「留三郎に面倒見てもらえるんだから、じゃじゃ馬で良かった」 「うっ、あ、」 「ね、じゃあ…面倒見て?」 ここぞとばかりに食満にもたれかかって、シナをつくる。 たっぷりと、甘さを込めて囁いてやる。 ああ、ざまあみろ。食満の顔は予想通りみるみる真赤に染まってしまった。 「ね、早くぅ」 「お、お前、冗談……」 「冗談なんかじゃないんだけどなぁ…ほら、寒くなっちゃったの」 さて、とりあえず二人であったまることしましょうか? 「ね?とーめ」 「っ!!」 終 あけましておめでとうございます! |