文次郎














「なによぉ」
「何笑ってんだよ」


こんなに寒いって言うのに、いつもギンギンしている文次郎には寒さなんて関係なしの様で平然とした顔で私のことを見ていた。
ああ、そんなあんたが大好きよ。
いつも、いつまでもそうやっていて。


「んー、一年が終わっちゃって寂しいなぁって」
「……」
「ちょっと、なに黙ってるのよ?」
「…うるせぇ、なんでもねぇよ」
「嘘」


ぐいっと、文次郎のほっぺたを引っ張ってやった。
今まで懐にしまいこんでいた手が、冷たい空気でツキンと痛かった。
文次郎が何考えているかなんて、あんたのこと考えすぎててわかっちゃうんだから。
……ばかたれ。


「ふぉうふぇ、おぅあおふぁ」


がしっと手首を掴まれてしまったので、大人しく手を離した。
ぶすっと機嫌悪そうな顔の癖に、唇がとんがっている文次郎。
こんな表情をするときは必ず、何かてれ隠ししてる時。
だから、何にも云わないで、文次郎と同じ方向をじっと見つめていた。
ああ、もうしばらくこうしていたら日が昇って来るのを二人で見れるかな。


「……三か月か」
「…うん」


少し声がかすれている。


「それが終わっても、俺はお前の側にいるつもりだからな」
「私が嫌だっていっても?」
「言わせてたまるか」


強引に抱き寄せられて、ぎゅうぎゅうと抱きしめられるのは少し痛いけど大好き。
お返しに、同じように文次郎の胴に腕を回して絞め返してやった。


「な、
「ん?」
「ひめは、ブッ!!」
「言わせてたまるか!」


思いっきり頭突きしてやったけど、やっぱりそのまま抱きかかえられてしまうと抵抗も出来なくなってしまった。
ああ、くそう。
惚れた弱みかな?こんな時でも、胸が高鳴ってしまう。


「ばか文次郎」



あけましておめでとう。
































あけましておめでとうございます!

(勘違い発見により手直ししました)