欲しいとは言ったけど! 虫の声が耳を楽しませ、肌寒い夜の空すら楽しいと感じるのは「はろうぃん」という空気のもつ独特な雰囲気のおかげだろう。 私がルンルン気分で廊下を歩いていると、前から伊作が歩いてきた。 「あ、ちゃん!」 「伊作〜!」 「ちゃんかわいい!なになに?うさぎさんのきぐるみ?」 「うん!そうなの!一年生の子たちがね、私にはきぐるみがいいです!ってわざわざ持ってきてくれたから来てみたの!」 「すごいかわいいよ〜!」 は全身をふわふわのきぐるみに包まれていた。 白いうさぎのきぐるみで、耳にはちょこんとお花がついている。 そして、手に持ったバスケットには、色とりどりのお菓子が入っていた。 「ありがとう!あ、伊作もよく似合ってるよ!!えっと、お医者さん?」 「うん……ちょ、ちょっとやりすぎたかな?って思うけど」 「え!そんなことないよ!!」 伊作は伊作で、普段見たことのない洋装の医者の格好をしている。上にはおった白衣には毒々しい色のシミやら、血のシミがべったりとついている。 狂った医者といったところだろうか。 「なんか、伊作らしいって感じで、私はいいと思うよ!」 「ありがとうちゃん!せっかくだから、お菓子あげるね!」 「わーい!ありがとう。あ、そうそう」 「ん?なあに?」 白衣のポケットからごそごそと、これまた原色が目に痛いキャンディーとガムとを取り出すと真っ白なの両手にばらばらと降らした。 「あのね、留のこと探してるんだけど知らない?」 「ああ、留?」 したり顔でうなづく伊作を、は笑わないでよ!と恥ずかしそうに軽く押した。 「多分ね〜、部屋にいたかな?さっき用具の子たちに囲まれて大騒ぎしてたけど、疲れたぁとか叫んで長屋の方に行くの見たから」 「ああ、あの子たちか」 は用具の後輩たちとワイワイやってる食満の姿を想像して思わず笑みがこぼれた。 そして、伊作に礼を言って、長屋へと向かっていった。 「留〜〜?」 からりと、戸を開けると中に寝っ転がっている食満がいた。 の姿を見ると、急に顔を赤くさせてたちまちに飛び起きた食満は、その場に正座する。 「!な、なんだよ急に!!」 「え〜?留に会いたくなったから探してたの。そうしたら伊作が部屋にいるって言うから」 よいしょと、白いうさぎのが食満の隣に腰をおろした。 そして、にこっと隣の食満にが笑いかける。 「来ちゃったの」 「……べ、別にいいけどよ」 「ねえねえ、それよりさ」 「ん?」 真っ白の両手をはい、と食満に差し出す。 「トリックオアトリート!留、おかしちょーだい?」 「っっ!!……ぅ」 すると、突然食満がうーとか、あーとか目を押さえて呻きだした。 は急にそんな風になってしまった食満を不思議に思って、うつむいている食満の顔を覗き込んだ。 「ん…うー……」 「留大丈夫?なあに?」 「と、トリートっ!」 「わっ!!?」 突然がばっと、うつむいていた食満がに向き直ってそのままを押し倒した。 反転した自分の状況を理解できずには目を白黒させる。 「な、なに!?留どうしたの!!?」 「お、お菓子欲しいんだろ?」 「え?うん……」 食満は近くにあったのお菓子がつ待ったバスケットから毒々しい緑色のキャンディーを取り出してそのまま自分の口に放り込んだ。 ころころと、食満の口の中を大ぶりのキャンディーが移動するのが頬のふくらみからにもよく分かった。 状況もよく分からずに、ただ食満に押し倒されるままになっている。 そんなに、にっと笑いかけた食満の歯にそのキャンディーが咥えられていた。 「んっ」 「え!?ふぁ……んむ」 そのまま食満の顔が降りてきたと思ったら、唇が重なって甘ったるい砂糖の味が口の中に広がってきた。 大ぶりなキャンディーをの口の中へと、舌を使って食満が押し込んだ。 そのままキャンディーごと舌をからめてたっぷりと甘さを味わう。 「ん〜!んん!!」 ちゅぱっと、唇が音をたてて離れる。 食満はべろりと、甘い唾液がついた自分の唇を舐め上げ、のことを見下ろした。 は顔を真っ赤にさせて、それでも口の中には幾分か小さくなってしまったキャンディーをほおばっている。 「、うまいか?」 「ばぁ、ばぁか留」 「馬鹿じゃねーよ。かっこいいかめさんだ」 そう、食満の格好は亀のきぐるみ。背中に本物さながら甲羅を背負っている。 視界いっぱいに、悪戯な笑みを浮かべている食満の顔がまた急に近づいてきた。 「なんだこのウサギ?競争の途中で居眠りでもしてるうさぎか?」 「ち、違う、よっ!?ちょ、と、留!!?どこ触ってんのよ!」 「いや、白くてふわふわだなぁって思って」 柔らかい布の上から腹をさすりあげ、食満の手がの体をまさぐっていく。 「ふぁ!!?」 がりっと、思わず口のなかに残っていたキャンディーを噛んでしまった。 敏感な部分に這わされた手が、徐々に熱を持っていく。 「、かわい」 「んん〜〜…」 目を閉じ、唇をかみしめて必死に声を我慢する。 調子に乗って食満の行動は大胆になっていく。 「はっ、もう一個食べるか?」 はむっと、の唇を甘噛みして開かせるとその隙間から原色の金平糖を滑り込ませてに食べさせる。 「ひゃ、んむ、甘い」 「それだけじゃ、ないだろ?」 恥ずかしそうに、こくりと頷く。 もじもじと、太ももをすり合わせている姿に余計に欲が募っていく食満。 ああ、ハロウィンだからだろうか。 いつもよりも大胆なお互いの行動に、胸がどきどきと悲鳴を上げている。 食満も、の体に自分の欲望で固くなった股間を押しつけて、白い毛皮を汚す妄想にかられた。 「、」 「ふぁ…ン?」 「ウサギとかめみたいだな」 「ば、ばかっ!!」 「ははっ……かわいいうさぎの中に……亀、挿れてぇ」 「なっ!!?」 ぐりっと、毛皮の上から、己の欲を割れ目に押しつけた。 きゅんと、それだけでは体がひくついてしまうのを感じてしまう。 「、トリックオア、トリート」 あんまりにも、普段と違う食満の表情に、思わずも恥ずかしいながらも答えてしまう。 「トリック」 張りつめていたものがついに切れたように、食満の手が真っ白な毛皮を剥ぎとった。 終 私は、あほです! はちこさんのコメント「お菓子をもらいに行って悪戯をもらう」でした! び、微妙にお菓子も貰っていましたが…ま、まぁ、いいか;; お気づきかもしれませんが、「うさぎとかめ」と、微「いなばの白ウサギ」的な感じで。 コメントありがとうございました! |