悪戯突撃下級生!を、決行せよの段


























待ちに待ったハロウィンがやってきた!
私は仲のいい5年のメンバーと一緒に前々から様々な悪戯を考えて、この日のために準備していたのだ。
手に手に持っているのは少し大きさの小さい髑髏や、小さなかぼちゃを苦心してくりぬいたジャックオーランタン。その他スライムやらいろいろ。
トイレットペーパーまで持っている。


「よし、それじゃあ各自打ち合わせ通りのフォーメーションにより、悪戯を決行する」
「「「「うっす!!!」」」」


五人で肩を寄せ合い、三郎の掛け声で気合いを入れ合う。
私も、真っ黒な布を頭からすっぽりかぶって気合を入れた。
闇にまぎれていたずらし放題だなんて・・・・・私たちになんてぴったりなお祭りなんだろう!!
それでは、早速………




「「「「「トリック!!!!!!!」」」」」


























「滝〜〜〜〜」
「ん?先輩???」


どこからともなく、自分を呼ぶ声が聞こえ、滝夜叉丸はあたりをきょろきょろと見回したが、どこにもの姿は見えない。
しかし、確かに聞こえたのに……。


「トリック!!!!」
「うぇ!!?……わぁあああああ!!?」


びちゃあっと突然上から大量のねばねばしたものが降ってきた。


「な、なんだこれはぁ!!!?私の美しい顔がぁああ!!!」
「あははははははは!!!スライムだよ〜ん!!!」
「滝夜叉丸おもしれぇええええ!!」


緑色のスライムを頭からかぶった滝はさながら生まれたてのゾンビのようだ。
ド派手なくらいに着飾られた格好が何とも言えない感じになってしまっている。
丁度真上の枝に座っていたと三郎はげらげらと笑いながら逃げていく。


「悪戯ごめんね〜〜!!!」
「ぅ・・・・うううう!!先輩ひどい!!!」


とかいいつつ、ちょっと滝は嬉しそうだった。
どうやら、ぐだぐだの自慢話を聞かされるのがいやで皆から相手にされていなかったようだ。



















「お、見ろよ!!」


竹谷の指さした方を見ると、丁度金吾がひとりで歩いているところだった。


「それじゃあ、これで行きますか…」


久々知がつりざおの先についているジャックオーランタンに火を入れる。他の四人がそれを囲んで、灯りが漏れないようにして準備は万端。


「一年ボーズびっくりするぞぉお……」


もう、五人は笑みがこぼれるのを我慢できずにニヤニヤしていた。
一方金吾はなにも気付かずにてくてくと歩いていた。
だいぶあたりも暗くなったが、今日はハロウィンだし楽しいな!みんなで同じ格好をしようって決めたから早く行かないと!にこにこ笑顔で歩いていると……


「ぅぅぅううううう〜………」
「ひっ、え?な、なんだぁ?」


どこからともなく、女の呻くような声が聞こえてきた。
思わず立ち止まって見るが、その声の主の姿はどこにもない。


「き、気のせいかな……」


また、気を取り直して歩き始めたが、なんだか薄気味悪い気がしてならない。
と、前方からちらりちらりと灯りがこちらにやってくる。
だんだんと近づいてくるそれに目を凝らすと……


「う、うあああああああああああああ!!!!」


恐ろしい顔をしたかぼちゃが宙を浮かんでこっちにやってくる!!
恐怖で、金吾は尻もちをつくと、あわててきた道を戻っていった。
そのあとも、五人はこの道を次々にやってくる下級生たちに悪戯をやり続けた。
あんまりにも面白いほどに皆が引っ掛かり、笑いが止まらない。


「さてさて、次は本番行っちゃいますか?」
「うひひ、あそこ行っちゃう?」
「もう、三郎もちゃんも意地悪だね〜」
「雷蔵、顔が笑ってるぞ」
「今度は全員でいきますか!」


にやぁっと、笑いあう五人の目的は毎度騒動を巻き起こす一年は組のお子様たち。
そう、一番からかいがいのあるは組だった。




























がさりと、茂みの中からは一年は組の様子をうかがった。
全員が今日のためにお揃いで準備した子だぬきのきぐるみを着ている。


「か、かわいいいいっ……」


ぽんぽこぽんぽこと、きゃらきゃら笑いながらじゃれ合っているは組の姿に思わず胸を撃ち抜かれたが、ここには悪戯をしに来たことを思い出して、は一度深呼吸した。
この、悪戯前の何とも言えないワクワクと緊張感が何とも言えないのよね!!
と、にたりと微笑む。
正面に見える屋根の上から、きらりと光りがこちらに反射して合図が送られる。
今回は、五人全員がそれぞれ恐ろしい化け物の格好をして、は組を襲撃するという悪戯。
驚いて、子だぬきは組が逃げ惑う姿を思い浮かべてまたまたはにやりとほくそ笑んでしまう。
さてさて、行きましょうか!
すうっと、一息吸ってからは動き出した。そう、先陣はだった。


「きぃやぁああああああああ!!!お化けぇええええええええ!!!」


遠くから響いて聞こえてくるように発した叫び声に、びくっと固まる子だぬきは組。
は思いっきり茂みから飛び出して、子だぬきたちを襲撃した。


「わぁああ!!!骸骨のお化けえぇええ!!!」
「わーん!!怖いよ〜!!」
「こっちきたぁああ!!」


は逃げ惑う一年生たちを骸骨の格好をして追いかけた。
このまま、逃げ惑って四方に逃げようとした一年生をそれぞれ他の五年生が突然現れてさらなる恐怖へご招待する作戦………のはずだった。


「うぁああん……こわいよぉおお」


まさかの、予想外の動きをしたのがしんべヱだった。
目を覆いながら逃げようとしたしんべヱが、突然に突っ込んできたのだ。
思いがけないしんべヱの行動に驚いたのは、そのまま突っ込んできたしんべヱを抱きとめる形で後ろに倒れてしまった。


「うわっ!!?し、しんべヱ!!!」
「怖いよ〜〜〜!うぁあああ〜ん」


恐怖のせいか、ぎゅうぎゅうとの腹に顔をうずめて怖い怖いと繰り返すしんべヱ。
しんべヱのせいで、身動きがとれずに倒れたままのがもがいていた。
その様子にぴたりと動きを止めてしまった、一年は組は、二人の方を見て大声をあげた。


「ああ!!しんべヱがお化けを捕まえたぞ!!」
「はにゃ、お化けをやっつけろぉ!」
「中に人が入ってるみたいだぞ!」
「誰だ誰だ!!」


ぽんぽこぽんぽこと、子だぬきたちにアッという間に群がられてしまったはわぁわぁと、四肢をは組の子たちに捕まえられてしまった。


「覚悟しろぉ!」


まずい!は慌てたが、乱太郎の手がぎゅうっとマスクの端を掴んだ。


「って……あれ?」
「「「「「「うわぁっ!!?」」」」」」


突然、掴んでいたはずの体が消えてしまった。
残されたのは、みんなが掴んでいたそのお化けの服装だけだった。


「な、中身が消えちゃった!!」


驚き、その服を広げてみている子だぬきは組が首をかしげて顔を見合わせた時だった。


「うぉおおおおお!!!!乱太郎たち〜!どけぇええ!!」
「三郎!ずるいよ!!!私だって!!!ちゃーん!!!」
「うぉ!お前ら、手裏剣投げんな!!って、久々知は豆腐投げるな!!!」
「竹谷どけよぉおお!!!私が先だぁあ!!!〜〜!!!」


突如四方から現れた見知った先輩たちがこちらに向かって走ってくる。
しかも、それぞれが手に苦無を持っている。


「わわ!?三郎先輩!」
「雷蔵先輩!!?」
「あ、竹谷先輩!!」
「久々知先輩!!?」


同じ委員会の子だぬきたちが驚いているのをかきわけて、四人はあっという間にが消えた地面に群がった。
そして、そのまま四人とも同じように地面にはいつくばると、じっと耳を澄ませている。
何をやっているんだと、ぽんぽこは組が様子を見守っていると何かを聞きとったのか、四人が突如地面を掘りだした。


「いる!!ぜってぇ、この下だ!!!」
「うぉおお!!俺が最初に掘り当てる!!!」
「何言ってるんだよ!私が最初にちゃんのこと保護してあげなきゃ!!」
〜〜!!おいしい豆腐はこっちだぞぉおお!!」


ざくざくと、一心不乱に地面を掘りだした四人の目的は言わなくても、土遁の術で地面の中に逃げただ。


「裸のを掘り掘り〜〜!!!」
「三郎になんか見つかったら大変だからちゃん早く私の所に!!!」
〜〜〜〜!!!!!!!!!」
「私の所にこいよ〜!!〜〜!!!!」


ぽんぽこぽんと、は組の子だぬきたちが首をかしげてその様子を見守っていた。


『最悪〜〜!!な、なんとしても逃げないと!!!!』


ざく!!!


「「「「「あ」」」」」






















































趣味に走りました。
ぽんぽこは組が大好きです。
匿名の方の「五年とヒロインで下級生をからかう」のコメントからでした!
完全に私の趣味が出ていますね^^
コメントありがとうございました!