息を吸うと、肺の奥まで焦がされてしまいそうだ。
口元を覆っていた布をはぎ取ると、また、その感覚は強くなった。


「留」


ぽつりと、呟くように呼ばれ、俺は勢いよくそちらを振り向いた。
傷だらけで、ぼろぼろで、今にも倒れそうながいた。


!!!!!」


慌てて駆け寄ったの体はひどく冷たく、その癖に吐き出す息と、この両手を濡らすの血ばかりが温い。


「と……め、なんで、ここにいん、の、よ」
「なんでって、お前こそ、なんで」


ふっと、の唇の端に笑みが宿る。


「じ……しゅう」


当たり前のことを聞きすぎていることに、気がついた。
そうだ。それ以外に俺たちがこんな場所に来る必要なんてどこにもない。
抑えたの傷口から、どんどんと温さがこぼれる。
焦りが俺の中で募っていくのに、はなんと緩慢に言葉を紡ぎ、瞬きを繰り返すのだろう。



「ふっ、」
「なんだよ、なんだよ、
「留……泣きそうだよ?」
「馬鹿」


俺は、どうしようもなく焦り、あたりを見回すのにどこにも俺たち以外に人影が見えもしない。
こんな時に限って、伊作とは別の組だなんて。
くそ、


!」
「なに……よ」
「絶対に寝るなよ!」
「無…り」


すっと、瞼を閉じたをもう一切の躊躇もなく抱えた。
ああ、どうやっても、の体の凡ての傷をふさぐことなんて俺には出来そうもない。
ただ、俺に出来るのは、こいつの、の体を抱えてまっすぐに走るだけ。












































ああ、なんてあったかい。
あったかい。
こんなにあったかいのは、どうしてだろう。
私は……どうなった。
はたはたと、頬に降りそそぐぬくもりがくすぐったくて、思わず唇を緩めた。


!!!?」
「ふぁ!?」


突然、体を起こされたかと思うと、そのまま抱きすくめられた。


「わ、け、食満留三郎?」
……よかった…、
「な、なに?どうしたのよ?」


ようやく留の肩口から顔を離すと、予想外にもぽろぽろと涙をこぼす留の顔があった。
いったい、どうしてしまったのかわからない私は、おろおろするばかり。


「あ」

その時、体に痛みが走り抜け、ようやく自分が一体どうなっていたのか思い出した。
ああ、あれは夢じゃなかったんだ。
そう思うと、急に怖くなって、体が震えた。


?」
「は、はは……留、私……?」


すると、また、留に抱きすくめられた。
それでも、体の底から震えが後から後から湧きあがってきてしまい、急に背筋にも寒さが走る。


「生きてる」
「本当?」
「生きてる…は、生きてる」
「留………怖いよ」


体が、痛くてしょうがないけど、そんなことよりも今はただ、留の体が暖かく鼓動が私の体へと伝わって来る。


、」
「ん?」
「息をしているだけで構わない。ただそれだけで、俺は………」


もう、忍びなんてやめろよ。
二人で、泣きながら抱き合った。
ようやく、留のぬくもりが私へと移り、まんべんなく混じり合ったころ、胸の苦しさを吐き出すように囁いた。


「やめれないよ………やめたら、留と離れちゃうじゃん」
「この……馬鹿野郎」


留、ありがとう


「大好き」


返事の代わりに、ぎゅっと、抱きしめる力が強くなった。







































い 「息をしているだけで構わない。ただそれだけで、俺は………」