あなたがいい
































部屋の中を軋む音なぞ、自らとその下に組み敷いたがたてる音で満ちているはずなのに、雑渡は耳聡くそれが自分たちが立てている物とは別の「音」であることを察知した。
に悟られないように微かにため息をつく。
しかし、下から伸びてきた腕は不安げに雑渡の首に絡みついた。


「あっ、ざっと、さん……こっちみて」


甘えたような、掠れた声にぞくりと肌を粟立たせながら雑渡は顔を下に向けた。
ぎしぎしぎしぎしぎし。
絶え間なく続く激しい律動なぞ全く感じさせない息遣いで雑渡は飄々と答える。


「なんだいちゃん」
「あっ!はぁっ……ふ、どうしたの?」


逆に聞き返されてしまえば、苦笑しか出なかった。
ああ、こんな子だから私はちゃんが好きなんだよと、言ったらまた顔を赤くするだろうか。
とろんとした瞳の中にある微かな影をうち消してやるように、雑渡はに深く口付けをした。
の方から積極的に舌を絡めて、それを雑渡が歯を立てたり吸い上げたりすると、下半身の締めつけがきゅうきゅうと強くなる。


「ははは、私のがちゃんのおま●こに食いちぎられちゃいそうだよ」
「なっ、ば……」


口を離したとたんに変態じみた言葉をさらりと言う雑渡に絶句しただったが、次の一言でさらに物が言えなくなった。


「そんなね、私とちゃんの喰うか食いちぎられるかの愛の営みを覗いてる部下君がいるんだな」


ねー諸泉君と、さも平然と声をかける雑渡に、嘘ですよねと視線を投げかけたの願いもむなしく、姿を隠しているのもアホらしいと天井板が外れた。
するりと音もなく部屋の隅に坐した姿は、まさに諸泉以外の何者でもなかった。


「……組頭が堂々とサボってては下に示しが付かないと思わないんですか?」
「思わないねぇ」


いっそのこと、この場から逃げ去りたいというのに雑渡はを攻める手を休めることはない。
意地悪く胸の先を抓まれ、思わず上げてしまいそうになった声を我慢する
この人、楽しんでいる。


「なんて正しい、愛の示し方だろうって私は思うけどね」
「……時と場合を考えろと言うことです」
「諸泉くんー、君って馬鹿だねぇ。この身を滾るちゃんへの愛情は時間も場所も関係ない」


かっこよく言い切った所で、動かすのは腰なのだからいまいちかっこが付いていない。


「だーかーらー!」
「あ、いいこと思いついた」


諸泉の怒りが沸点に達する直前に、包帯から覗いた双眸がきらりと輝いた。
はただもう、最中に雑渡が思いつく「いいこと」に痛い目を見すぎているために、ただただ嫌な予感しか感じていなかった。


「組頭として、自分の部下にちゃんの素晴らしさを教えてやればいいんだ」
「ひっ!!?」


ずくんと、ギリギリまで引き抜いた雄を一気にの中に突き入れた瞬間、はその熱量に目がかすんだ。激しい快感の渦が下半身から一気に背骨を突き上り、目の前が一瞬白く染まる。
その瞬間に、気を飛ばせたらどんなに幸せだったろうか。
何を考えているのか、雑渡はよいしょ、と言う掛け声と共にの体を軽く浮かせると一気に射れたまま体を回転させた。
を抱っこするような形で雑渡は、自分の体の上にの体を乗せる。


「あ、うっ……ひっんんん!!」


逝って敏感になった体には、それ相当な刺激だった。
ひくひくと何度も締め付けるの体が、反応が愛おしいのか自分の胸板に顔を押し付けているの頭を撫でる雑渡。
そして、が何も言えないのを良いことに、彼女の太ももを下から持ち上げ、器用に自身をそこから引き抜いた。
ずるりと、いやらしくも生々しい音が耳に届くのを、諸泉は眉間にしわを寄せて聞いていた。


「さあ!諸泉くん来なさい!」
「来なさいって……」
「私の愛おしくてらぶくて、かわいすぎてイヤラシイちゃんを味わってみるがいい!」
「……え、い、や」
「あ、な?ざ、ざっとさん何言って」
「ナニだよ、ちゃん」


にっこりとほほ笑んで、至極楽しそうに笑っている雑渡。


「諸泉くんだって、ずっと私とちゃんの激しい愛の営み見てたんだから苦しいんでしょ?勃っているんだろ?まあ、若いんだから我慢せず来なさい」
「あ、あんた何馬鹿言ってんですか!」
「んー、なんていうか、組頭命令だ」


その命令の部分だけ、まるで仕事の時に部下たちに命令を下す時と同じ有無を言わさない絶対ていな冷たさが含まれていた。
だがは恥ずかしさと、逝ったせいで何がどうなっているのか回らない頭が余計に回っておらず、そのことには気付きもしなかった。
諸泉だけに届いた、命令。
命じられてしまえば、従うしかない。反抗の先に待つのは暗闇だけしかない。


「……し、失礼します」


緩めた褌の間から勃ち上がる雄は、完全に興奮していたことを示していた。
腹に付きそうなほどのそれは、既に先走りで濡れている。
目の前にみるまだ、若いの女の部分。
正直、諸泉はたまらない興奮を覚えていた。
組頭の女を、自分が……
前戯も何もいらない。肉芽を刺激するように割れ目の中に自身の熱を射し入れた。


「あっ、ふ……」
「きゃ、あぅ!?……あっ、や、やだぁ!!!」


いやいやと、体をうねらせるを下からがっちりと雑渡が押さえているせいで逃げられない。


「すごいだろ?」


下から、ニヤニヤと雑渡の不躾な視線が、堪らず腰を動かし始めてしまった諸泉に向けられた。


「あ、はっ、はいっ……くっあッ」
「ざっと、雑渡さん、ざっとさぁんッ」
「よしよし、ちゃん私はここにいるよー」


下から体を雑渡も揺すり始める。
の体との間で擦れて、さらなる快感が雑渡にものしかかってくる。
時折、めくれるように肉間に当たると溢れだして落ちてくるの愛液が、ずちずちと音を立てた。


「ひゃぅ、あ、ざっと、しゃん、わた、しおかしく」
「おかしくなっていいよ。私に堕ちておいで」
「ざっとしゃん、のじゃなきゃ、やらのに」
「嬉しいこと言ってくれるじゃないか」


びくんと、体の間で熱が今にもはじけそうになっている。
本当は、雑渡のそれが欲しいのに、自分の体を犯しているのは別の男のものだと言うことを、触れる雑渡の雄で否が応でも意識してしまう。


「はぁ、はぁ、く、み…がしら、お、俺ももうっ……逝きそうです」


の絞めつけに耐えられず、諸泉は逝く寸前に自身を引き抜いての尻目がけて幹を扱いて白い精を放った。


「あ、あ、あっ!!」
ちゃんも逝こうか?」
「んっ〜〜〜!!」


噛みつくような口づけ、入りこんでくる太い指がイイ所を一気に攻め、体の間にある雄がびくんと跳ねる。
どろりと、熱い精が自分の腹に掛かるのを感じながら、は再び達した。そして、今度こそ、意識も共に飛ばした。











































雑渡は、の額に張り付いた髪を、愛おしそうにはらってやる。
意識を飛ばして、裸の上に上掛けが一枚かけられて眠ると、寄り添うように寝そべる雑渡。
そして、その二人から少し離れた所に三角座りをする諸泉。


「かっわいいな〜、ちゃーん。諸泉君も聞いたよね?ね?雑渡さんのじゃなきゃいやだなんてねー」
「…………やりましたね、組頭」
「なんのことだろうね?」
「まんまと、サボり共犯にした挙句、ただ自分がそれ言われたかっただけですよね」
「…知らないねぇ」


すっとボケる気か。
命令とは言え、こんなことに付き合わされるだなんて、言われた瞬間に分かっていてもよかったはずだ。
それに気付かないぐらいに、自分もこの組頭の想い人に興奮していたからか?
重いため息をつく諸泉。


「あんまり、こんなことばっかりしていると愛想尽かされますよ」
「とっくに尽かされてるかもね」


それでも、私がいいって言ってくれるんだよこの子は、と、眠るの頬にちゅっと音を立ててキスをした。
その瞬間、が幸せそうに微笑むのを諸泉は目にして、案外組頭の言う通りなのかもしれないと、思ってしまった。


























たのしいねぇ