フライング




























隣に座ったの肩口で揺れる髪の毛が、風もないのにちりちりと揺れる。
その度に、目の端には黒と白の反転が映りこむ。
もう少しだけ、顔をそちらに向けると、目をひかれるばかりの白さはやっぱりの肌の色だった。


「ねえ、竹谷。私の話聞いてるの?」
「ん?おお、聞いてるよ」
「嘘ばっかり。じゃあ、私がなんの話してたか言ってみてよ」
「………明日の夕飯は久々知の大好きな豆腐料理だ」
「…はぁ、もう少しましなこと言えない?」


もー!と言って、少し膨れたがもう一度話し始める。
今度はちゃんと聞こうと思うが、やっぱり俺の目につくのはその白さで、気を紛らわせるように視線をの口元へともっていく。


「だからね、くのいちの友達とこの前話してたんだけど最近、やけにべたべたしてるカップルが多いのよ!」
「おう」


淀むことなく滑らかに言葉を紡いでいく柔らかいの唇。
形のよい桃色の唇の端が、僅かに上がっているのは機嫌のいい証拠。


「それでね、私見ちゃったんだけど…」
「ん?」


不意に寄せられた唇、耳元でくすぐったいような感触を伴っての声がひっそりと俺の中へと侵入してくる。


「キス、してたの」
「……」


首をひねると、すぐそばにの顔。
ひどく、時間がゆっくりに感じた。
だから、俺はの唇の端が徐々に上がっていき、が微笑んだのに魅入っていた。
それと同時に勝手に体が動く。


「え?」


ぐらりと、傾くの体。
こちらに倒れこんでくる身体。
手首を掴んで、軽く引いただけなのに意図も容易くの唇が目の前に。


「んっ!?」
「んー…」


柔らかい唇をたっぷりと味わいながら、飛んできたビンタはひどく甘い感触だった。
ぱちんと、弱い音を立てて触れたの手ごと上から包み込むと、間近で交わされた視線は怒ってんだか、困ってんだかよくわからない物になっていた。
音を立てながら離れた唇は、名残惜しい。
それでも、真赤になった顔のを手放せなくて、手はそのまま離せない。


「すまん、
「ば……ばか!は、初めての私のちゅうが!!」


うるっと、しているの瞳からは、今にも涙が零れ落ちそうになってる。


「ぎゃ!」


それをべろりと頬から舐めあげてみると、柔らかい感触と、涙の少ししょっぱい味が舌の上で広がる。



「な、なによ!」
「責任とるから、もっかいしていいか?」
「は?え!?あっ…んんっ!!」


とりあえず、答えを聞く前にもう一度、口付けを。









































友達からの脱却。
すぐそばにありすぎて、我慢できなくなった竹メン。
大好きな君の話すら話半分になっちゃうほどだったんです。