極意!



































後ろ手に手を組んで、は目の前の三郎を緊張の面持ちで見つめていた。
肩幅に開いた両足と、自分の影が綺麗に重なっている。


「鉢屋三郎先生!お願いしまっす!」
「ぃよ〜し!相分かった!熱意には負けた!教えてやろう!」
「え!?ほ、本当ですか!!」
「ああ!ただし、辛く厳しいかもしれないが、お前に耐えられるか?」
「耐えられます!!!」


三郎の返事に顔を輝かせて、全身から喜びを溢れさせる
それもそうだ。あの、素顔を知っている者は誰もいない、変装なら六年生でも敵う者はいないと噂の三郎に直々に変装の特訓をしてもらえるのだから。
しかも、だ。
仲がいいから嫌だと、散々長い間突っぱねてきた三郎に自分の誠意が通じた瞬間でもあったのだから、が嬉しくならないわけがない。
きらきらとした両目からは、一体どんな秘密が聞けるのだろうと言う好奇心が少しと、大いなるやる気が見てとれる。
そんなを見て、硬い表情を少しだけ緩ませた三郎は、ゴホンと咳払いをして居ずまいを正した。


「私のことは、先生と呼ぶように」
「はい!三郎先生!」


それに気を良くしたのか、三郎は早速特訓を開始するとへ指を突きつけ宣言した。
ごくりと、の喉が鳴る。


「と言っても、たぶん私がいつもしていることはにはむちゃくちゃ難しいから……」
「む、難しくないもん!」
「……先生」
「あ、う……はい!先生!難しいです!」
「よしよし、と言うことで実戦を兼ねてとっておきの極意をお前に伝授してやる」
「ほ、本当!!?」
「ああ」


グイッと、笑顔の三郎がの腕を引いた。
は期待した面持ちで、されるがままに体を傾けた。
三郎の唇が、の耳を掠める。
くすぐったさを我慢して大人しくしていると、ようやく三郎の唇から言葉が漏れた。


「相手のことをじっくり観察して、よくよく知ること」
「は、え?」
「それでは、さっそく始めようか?」


戸惑うを他所に、三郎はの顔をがっちりと掴んで自分の顔を間近で見るように固定した。


「せ、先生?」
「ほら、大人しくしろよ」
「な、なに?」


じっと、間近で茶褐色の虹彩を見つめてしまう。
気恥ずかしく、段々と顔に熱が上ってしまうのをは感じるのだが、それを自分の顔に触れている三郎にも伝わってしまったらと、考えると冷静を必死に装うことしかできなかった。
しかし、こうしてまじまじと三郎の顔を見つめるのは初めてのことで、たとえそれが雷蔵の顔の変装を施しているものだとしても、どうみても本物の顔にしか見えない。


「三郎……先生」


つい、名前を口にしてしまい慌てて先生を取ってつけるが面白いのか、三郎は微かに目を細めて声を押さえて笑う。


「どうだ?私の顔」
「う、ん。すごい。全部本物みたい。睫毛は本物?」
「ん?どうして?」
「たぶん、ちょっとだけ雷蔵より長い気がする」
「ふうん、よくできました」
「はっ――――んんん!?」


がぶり。
歯を立てるように唐突に口づけられた。


「はい、次」
「え」
「もういっかーい」


今度は、押しつけるように柔らかく唇をくっつけ、じらすように舌先で唇を擽られる。


「ちょ!?さ、三郎!!?」
「違う、先生だろ?」
「だ、だって」


がっちりとホールドされた頭が逃げられない。


「実戦を兼ねてって言っただろ?」
「い、言ったけど」
「耐えられるって言っただろ?」
「い、言いました」
「極意、知りたいんだろ?言葉だけじゃわかんないだろ?」
「わ、かりま、せん」
「知りたいなら、俺は先生だ」
「せ、先生」


ぐぐっと、体を押され、体重を感じるほどに口付けを施される。
押される勢いに負けて、後ろへそのまま後退すると狙われていたかのように、茂みの中へと這入っていく。
そんなこと、とうに承知だがは逃げるすべを知らないし、よく理解できていない変装の極意を知りたい。
くちゅりと、糸を引いて唇が離れた。


「柔らかいだろ?」
「う、あ、はい」
「それなのに、こっちはこんなに硬くなってる」


くりっと、服の上から硬く膨らんだ胸の中心を刺激されると、は小さく声を上げてへたりとその場に座り込んだ。


「あ、や」
「返事は?硬く、なってるだろ?」
「は、いっ、きゃぁう!?」


ぷくんと、立ち上がったそこを意地悪く抓みあげるとたまらずが声を上げる。
三郎は舌なめずりしてことさら優しい笑みを浮かべた。
まるで、雷蔵そのもののような。


ちゃん、やらしいんだね」


雷蔵の声で。
顔を真っ赤に染めたは、びくりと体を跳ねあげた。
きゅきゅきゅと、抓まれるたびにおかしな快感が体の中を走り抜ける。
酸素が頭に回っていないのか、浮かされたように考えがまとまらない。


「感じた?これが雷蔵の声」
「あ、うぅ、くっ……ふぁ」
「感じたって、先生が聞いてるんだけど?」
「は、はい……せんせぇ」


そうかそうか、と三郎は頷くとの着物に手をかけた。
肌蹴させて、黒い前掛けの中へと下から三郎は手を突っ込んだ。
腹から登って行き、肋を手に味わいながら、柔らかな膨らみへと辿り着いた。


「はぁ、んっ、先生……だめ、です」
「だめじゃない。触ってほしいんだろ?」


直接触れる三郎の指先が肌を滑るだけで、はぞくりと肌を粟立たせた。


「ぷっくりしてる。のいやらしい乳首が触ってほしいって」


くすくすと笑いながら、唇のはしをぺろりと舐められる。


「はっ、さぶろ、変装の……」
「極意、じっくり観察」
「はぇ?」


バッと、前掛けがめくりあげられ、白い肌が三郎の目に曝された。
二つのふくらみは期待しているかのようにふるりと三郎の目の前で震えた。


「ひっ!あ!!や、やだっ!!!」


有無言わさぬ強さで、三郎はそのままの下もてきぱきと脱がせていく。
恥ずかしさで頭がパンクする。
押し倒されていた上半身を上げて、止めようとしたが既に遅かった。


「御開帳〜〜」


の白い膝を掴んで、三郎は左右に広げた。


「あっ……うううう〜〜!!」
「じっくり観察」


三郎はのそこへ顔を近づけると、既にぷっくりと充血している陰核を見た。
ちらりと、上を見上げてが絶望にも似た驚きの表情を浮かべているのを見てにたりと笑った。


「もう、濡れてる」


悪戯をするかの様に、三郎は楽しげにの陰核を抓んだり、押しつぶしたりする。
は、あられもない声を上げて、襲いかかってくる快感に耐える。
フルフルと、太ももが震えるのさえ、三郎は楽しくてしょうがない。
くぷと、指を入れると愛液が零れだしてくる。



「はぁ、はぁっ、さ、さぶろおっ、もおっ」


イヤラシイ音がの耳を犯していく。


「違うだろ?


一番イイ所を、三郎の指が掠めた。


「ひゃあっぅ!!!あ、あ、も、……せん、せぇ!お願い、し、ます」


ずくりと、三郎の雄がの中に突き刺さった。


「はっ、はぁ、はっ」
「うっ、んん、ふぁ」


律動に揺さぶられて、奥へ、奥へと快感が登りつめていく。


「あ、せんっせ、チュウして」
「っっ!!――――ばっか」


甘ったるい口付けを何度も何度も、交わした。








































ぐったりと、は仰向けになって倒れている。
荒々しい息を上げている横では、心底幸せそうな顔をした三郎が、すりすりとを抱きしめて頬ずりしていた。


「相手のことをよく知ること〜」
「さ、三郎……だました…な」
「だましてないよ?まず、に私のこといっぱいたくさん知ってほしいな―って」


にこにこと笑顔を浮かべながら、いけしゃあしゃあと言えたもんだと、は軽いめまいを覚えた。
それなのに。


「し、知りたい……よ。もっと」


顔を真っ赤にして、三郎の胸に顔をうずめてしまう
ああ、くそ、かわいすぎる。反則だと三郎はをぎゅうぎゅうと抱きしめた。
まさか、自分が思っていた以上に大成功するなんて。


「あああああああああーーーーーー!大好きだ!!!」


変装なんかよりも、幸せの極意をこれから二人で編み出していきたいぐらいだよ!
























先生って呼んで!