ぬるい現代っぽい転生ネタです お嫌いな方はご注意を まだいいよ 開け放った窓の外から忍びこんでくる風は冷たさもない代わりに、温さもない。だが、薄い桃色の花弁を伴って吹き込んでくる。 それでも、まだ何も身につけていないで転がっているには肌寒く、隣で自分と同じように寝ころんでいる肌に腕を絡ませた。 「〜」 聞きなれた声も、目を閉じて聞けば遠いどこかの知らない人の声のようにを不安にさせた。 なぜ、そんなことを思ったのだろう。 固く閉じた瞼の裏に花びらは同じように舞い込む。 肌をくすぐる風は、人のぬくもりも手伝って心地よい。 「あー……なんだよ、もう一回するか?」 「しない」 即答で返事を返せば、苦笑いをする音がぴったりと押し付けた耳に聞こえてきた。 どくりどくりと音を立てて耳元に囁きかけてくるその音に、心が締め付けられる。 ああ、なんて悲しいんだろう。 「三郎」 「、ん、」 からの口付けを受けて、三郎は一瞬驚いたように目を見開いたがすぐに目を細めた。 たっぷりと時間をかけて口付けをして、擦り合わせた肌が熱をはらみ始める。 「三郎」 いつも呼びなれた名前の癖に、胸がずきりと痛い。 分からない。 どうしてだろう。 は、三郎の上でゆすぶられながら、下で苦しそうに眉をしかめるその男の顔をまじまじと眺めた。 はらりはらりと窓から舞い込んでくる花弁がいいという理由で、三郎が決めたアパートに泊まり込んでは肌を合わせる。そんな関係になったのは、いつだろう。 ずっと、昔、私たちはこうしていたと、夢見がちな少女が言いだしそうな事を、思わず口にしてしまいそうになる。 それほど、濃厚な影が三郎の中に見える。 同じ顔が二人。 そのうち一人が、三郎。 いろんな顔をして、見慣れた苦笑いを浮かべて私の方へと手を伸ばす三郎。 結局、一つの顔に戻って「いつか見せてやるから」と、よくわからないことを言われている私は、見せてくれなくったっていいと笑い返す。 そして、ありがとうと三郎はまた笑う。 ずっと前も、こうして三郎の事を上から眺めていた。 同じように花びらが舞いこむ。 狂おしいほどの、衝動。 吐いて出た言葉。 「三郎、三郎、大好きだよ?」 「私も、だ」 同じ言葉を、同じように聞いた。 だから、再び繰り返す。 「三郎、腹上死したい」 突然、下から腕が伸びて体を引き寄せられる。 ぎゅうぎゅうと、抱きしめられてがくがくとゆすぶられて。 はらりと、涙がこぼれた。 微かな痛みと、確かな愉悦。 どうしたことだこれは。 三郎とするのが、こんなにも気持ちいいなんて、不覚だ。 「はは、じゃあのためにとっておきのゴム出さなきゃ」 「なんか、その言い方キモイよー!変態!」 「腹上死した言って言う方がよっぽだと思うけど?」 「ぎゃ!?」 甘ったるい声なんて上げたくないから、余裕ぶってじゃれあうように交わる三郎とのセックスは、体が蕩けてしまう様な気がする。 その感覚が、今日はことさら強い。 「それとも、生がお好み?」 「ひゃっぅ!!?」 ことさら、強く締め付けてしまうその囁きに、違和感。 こんなことは言ってなかった。そう、だって、いつだって生だった。 追憶体験とでも、言おうか。 「じゃあ、生でする?」 そう口にすれば、ことさら強く揺さぶられた。 思いもよらない声を上げて、一緒に果ててしまった。 「たっ、はぁ……ンも――!!なんだよ!超可愛い!」 ぐりぐりと頭に痛いほどの頬ずりを受けているは、顔を緩ませた。 なんだ、なんにも変わらない。 三郎に、出会えてよかった。 初めてそう言った時、したり顔で「出逢うって決まってたから」と、自信満々に言っていた彼は何か知っているのだろうか。 「三郎」 見上げた三郎の瞳は、まるで何も変わっていない。 どこかで見たことのある、眼だった。 「」 ゆっくりと呟かれた言葉を、うまく聞き取れなかった。 「 お も い だ さ な く っ た っ て 」 それでも、きっとそのうちまた聞きだせばいい。 「 い い ん だ よ ? 」 だって、私たちはまだまだ離れ離れになる要因が一つもないんだから。 「三郎、もっとキスしよ?」 だから、珍しく強請る私を、三郎は大いに甘やかしてくれればいい。 終 転生ネタ? |