ただいま隠れ中










































突然後ろから誰かが走って来たと思い、後ろを振り返って見ると、普段と違って些か焦り気味の三郎だった。
そんな表情珍しいと思っていると、三郎はあっという間に私の体を捕まえて引っ張って来る。


「わわっ!三郎なに!?どうしたの!?」
「早く!早く逃げろ!!」
「え!?」


逃げろ逃げろと、三郎はそればかりを繰り返して走っていく。
訳が分からず、とりあえず大人しく三郎に速さを合わせるように足を動かす。
そのまま、走り続けあっという間になぜだか、五年生の長屋に。
飛び込んだのは、三郎と雷蔵の部屋。
なになに?と、考える暇もなく、押し入れの中に文字通り押し込まれ、三郎も一緒に入り込んできた。
狭くてしょうがないって言うのに、三郎は暗闇の中、私を抱き込むとそのまま二重底を開けてその中へと体を滑り込ませた。
カタリと、ふたが閉まる。


「三郎?」


目の前の三郎に声をかけると、シーっと唇に指を当てられてしまった。
仕方がなくまた口を閉じると、しばしの沈黙。
外の様子をうかがってみるが、とりわけ音がするわけでもない。


「ね、三郎」


三郎の耳元に顔を寄せて、そっと囁く。
ごく静かに、まるで実習の時のように敵地に潜んでいるような気がしてきた。


「どうしたの?」


すると、同じように近づいた私の耳元に今度は三郎がそっと囁いてくる。


「ちょっとさ、しくじっちゃって」
「なにしたの?」
「聞きたい?」
「うん、聞きたい」


と、その瞬間、突然外で戸が開く音がした。


「三郎〜〜〜〜!!!」


竹谷の声だった。
ずいぶんと怒っているのか、ここまで走ってきたのか息が荒い。


「三郎!どこいった!!出て来い!」


途端に、三郎がぎゅうっと抱きついてきた。
ぴったりと体を重ね合わせて、息を殺す。
上で、がらりと押し入れの戸が開けられる音がする。
みしりと、竹谷が床に手をついたのか私たちの上で板が軋む。
ドキドキと、鼓動が速くなり、殆ど息をしないまま気を張りつめる。


「くそっ…ここにはいないか…」


しばらくの間、ごそごそと部屋を探る音がしたが、よっぽど頭に血が上っているのか私たちが隠れている隠し床には全く気付かずに部屋から出て行ってしまったようだった。


「ね、三郎何したの?」
「ん?それがさ、ほんの悪戯だったんだけど」


目の前で三郎の唇の端がつうっと釣りあがっていくのを見て、よっぽどのことしやがったなと、思わずまだ聞いてもいないのに、竹谷がかわいそうになってきた。


「いや、一年は組の前で竹谷のふりして…」
「振りして?」


にしたって、さっきから三郎の唇が耳元を掠めて動くからくすぐったくてしょうがない。


「久々知のことを襲ってみました」
「……最低」
「いっやぁ、そうしたらは組のやつらびっくりして大騒ぎしてさ!」
「そりゃ大騒ぎするでしょ!」
「だけど、久々知が怒って騒いだら、雷蔵と竹谷が来ちゃってさ」
「はぁ……それで逃げてたの?」
「そうそう。でもさ、私のちょっとしたお茶目がどうしてあいつら分からないかな〜」
「私だって、それやられたら怒るよ。というか、三郎…久々知のこと好きなの?」
「は?」


今度は、驚いた顔で私のことをまじまじと見つめてくる。


「だって、久々知のことを襲っちゃったんでしょ?」


重々しいため息。


「ここにも……またお茶目を理解してないやつがいたか」
「はぁ?あっ!ちょ、ちょっと!!?」


驚いて、体を起こそうとしたが、上から覆いかぶさっている三郎の体に阻止されてしまう。
身動きが出来ないほど狭い場所なのをいいことに、三郎は目の前にあった私の耳をかしかしと噛みついたり、舐めまわしたり好きなようにして来る。
くちゅり、ぴちゃ、三郎の、荒い息。


「あぅ……んっ、はぁ」
の、ばーか」


ぞくぞくと、背筋を走り抜けていく甘い痺れ。
雷蔵の髪の毛がもさもさと揺れるのと、目の前の板が今にも私たちを押しつぶしそうに迫ってきそうなのばかりを見ていた。


「こんなに私が愛してんのに、まだわかんないの?」


もぞもぞと、お尻のあたりで三郎の手が動き始める。


「やだっ、なん、か……三郎手つきが、やらしい」
「やらしくしてんのー…わかんない?」


返事の代わりに、自分の胸を三郎の胸に擦りつけるように体を動かしてやった。
そして、さっきされたのと同じように三郎の耳に噛みついてやった。


「イッ……こっちも、食べさせてくれるの?」
「私が逆に食べてやっる…」
「へー…言うじゃん?」


あ。
この目。
三郎…興奮してる。


「だ、ダメだってば!ちょ、ちょっと!今隠れてるんでしょ!?」
から誘ってきたんだろ?それに、が声出さなきゃ大丈夫だって」


見つからない見つからないと、笑顔で言ってくる三郎がこんなにも悪魔に見えたのは久々だった。


「変態っ…んん」


重ねられた唇の間から、歯列をなぞる様に三郎の舌が割り入ってきた。
そのまま、腰帯がとかれ、袴の中に三郎の手が滑り込んできた。
やばいと思う間もなく、割れ目に三郎の指が触れてきた。
ちゅぱっと、音を立てて唇を離した三郎が、楽しそうに囁いてくる。


「なんだ、……期待してた?」
「うっ……うー」


顔から火が出そうだ。
熱が顔に集まってきて、もう、泣きたくなってきた。
三郎の唇が額にちゅっと音を立ててふってくる。


、超可愛い」
「三郎の馬鹿……えっち、変態」
「変態だから、、私のも触って?」


おずおずと、手を三郎の腰へと伸ばすと、わざわざ高ぶっているのを主張するように太ももにもう硬くなっているそこを擦りつけてくる。
その合間に、もう濡れてきている割れ目をくすぐるみたいにいじってくるから、なかなか紐が解けない。
ようやく解いて、中へと手を滑り込ませると硬く褌を押し上げているモノに触れた。


「んっ……の好きにしていいよ」
「す、好きって……ひゃぅんっ!?」
「私も、好きにするから」


そう言って、三郎は陰核をくりくりといじり始めてきて、じんじんと体が快感を訴えてくる。
声を出さないようにと、三郎が唇を合わせて舌を貪って来るもんだから、息もうまくできずに頭がおかしくなってしまいそうな気がしてきた。


「んっ…んん…」
「んむぅっ!?」


快感に押し流されてしまいそうになる意識を、指先に集め、なんとか褌を緩めて三郎のモノを掴んだ。
もう、どくどくと脈打つように熱くなっている先から滲んできた我慢汁を指の腹で掬っては、全体に塗りつけてやる。
そうすると、滑りがよくなり裏筋を中心に、刺激していく。
互いの秘部をこんな場所でいじり合っている私たちはよっぽどの変態なんだろうなぁってぼうっとしてきた頭で考えていた。


「や、らぁ……三郎、の……どんどんおっきくなってくる」
だって、すごいべとべと」


互いに興奮を抑えきれずに手を早めた時だった。


「三郎〜!どこだ!!!!」


瞬時に、固まる私。
また、竹谷がやってきたようだった。
どすどすと、部屋の中を歩き回る気配。



「ふぁっ…ば、ばかっ」


私が竹谷に気を取られた刹那、三郎がこっそりと体をずらして穴に自身をあてがっていた。


「やっん、こんなところ…ん、見られたらやばい…はぁぅ…」
「大丈夫だって、見つかんないから。それに……」


べろりと、唇を舐めあげた三郎は、熱っぽく囁く。


「も、我慢できない」
「ふっ、あっんん……」
「三郎〜〜〜!!!」
、すごい締まってるし、中熱い」
「ん、あ…三郎だって、いつもよりおっきい」
「どこだ〜〜!!三郎でてこーい!!」
「竹谷に見つかりそうで、興奮してるんだろ?やらしい女だな」
「そ、いう…三郎だって」


現に、三郎の動きはいつもより激しいくらいだった。
それに合わせるように、私自身も腰を動かすと互いのいい所にぐりぐりと熱が擦れて気持ちよさが高まっていく。
ぐちゃぐちゃになっていく頭の中。


「ここかっ!!!!?」


がたりと、頭上で板が軋む。
見合わせた三郎の眼はひどく加虐的なものだった。





















































そして、は組からはじまる竹谷先輩ホモ疑惑^^
馬鹿な二人が書きたかったのです。
この後どうなったんでしょうね^p^