大豆なぼくら


































食堂で、ランチを目の前に箸を動かしている人が二人。
他の生徒たちのざわめきなど気にすることもなく一心不乱に箸を動かしていたが、不意にその動きが止まった。
それぞれの前に残されたのは、おかずが一品ずつ。


豆腐

納豆


「やっぱりおかずの王様は豆腐なのだぁ!最高に体にもいいし、おいしいし、豆腐こそが最高の食べ物だ!」
「ああ!おかずの王様はやっぱり納豆よね!美容にもいいうえ、おいしい!!納豆があればどんどんご飯食べれる!!」

「「・・・・・ん?」」


その瞬間、彼らは出会ってしまったのだ。


「久々知…兵助?」
……?」


お互いの目の前にあるおかずはそれぞれ豆腐と納豆。
そして、先ほどの言葉をお互いに理解した瞬間火花が散った!


「あ、あのさ、久々知。私の耳がおかしかったのか、さっきあなた豆腐が最高の食材とか言ってました?」
「ああ。言ってたとも。それよりも、こそ納豆がおいしいだのと言っていなかったかい?」
「言ってたわよ!だって、納豆ってすご〜くおいしいもの」
「ふ、ふ〜ん。まあ、豆腐には勝てないと思うけどね」
「何言ってるのよ!?納豆の方が断然おいしいわよ?」
「何言ってるんだい?豆腐のこの素晴らしい醤油とのコラボレートを分からないの?」
「分かるけど、納豆の方が」
「いやいや、豆腐の方が」


それ以来、と久々知がそれぞれ納豆と豆腐を持って鉢合わせすると大騒ぎが起こるという恒例行事が出来上がってしまった。



























そんなある日、次の日のテストを控えて、みんな必死になっていた。
例のごとく、食事を取りにきた二人も勉強勉強で意識がもうろうとしていた。


「く、くち」



はたと、鉢合わせした二人の手にはそれぞれ納豆と豆腐の一品づつ。
それでも、さすがに今日は喧嘩をする気力もないのか、おとなしく二人とも席に着こうと動き出した。
は震える手でのろりのろりと納豆をかきまぜ始めたその時であった。


「あ」


ふらふらとした足取りの久々知が転んでしまった!
むなしくも伸ばされた久々知の手から豆腐が飛んでいく。


べちゃぁ


「……なにこれ」


豆腐は、にナイス・ストライクをかました。



「わわわ!す、すまない!!」



焦りながらのもとへと飛んで行った久々知は、顔中をぐちゃぐちゃになった豆腐だらけのに頭を下げるのだが、は硬直してしまって動かない。


?」
「つ、つめたい」
「ああ、それは冷奴だからさ」
「そ、そうじゃなくって!なんで豆腐なんて飛ばすの!!」
「や、わざとじゃないんだってば。本当ごめん!」


申し訳なさそうに眉を下げて謝る久々知だが、もはやは涙目になっていた。


「………あ」
「うっ…な、なによ?」


立っている久々知がぽむと、手を打った。
そして、そのままの顔に顔を寄せて、久々知はの頬についた豆腐をべろりと舐め上げた。


「ひぃっ!!?」


そのまま、ぺろぺろと、の顔についた豆腐を舐めていく。
は顔を真っ赤にさせて、余計に涙目になっていた。


「ちょ、ちょっと!何やってるのよ!」


ぐいっと久々知を腕で押しやって抵抗する
それなのに、平然と久々知はの額についている豆腐も舐めとった。


「何って、豆腐がもったいないからさ」
「だ、だからって!私ごと舐めないでよ!!というか、舐めるの一回やめろ!」
「え〜、なんでさぁ。おいしいのに」


ようやく向き合った久々知がにっこりと笑う。
その瞬間怒鳴ろうとしていたがうぐっと、声を詰まらせてしまった。


「あ、ここにもついてる」
「ふっ!んむ〜!!」


つうっと、唇の端に滑っていた豆腐のかけらをめがけて久々知はに食らいついた。
かぷりと、豆腐を食べるようにと唇を合わせる。


くちゅ……ちゅぱっ!


「ふぁ〜、おいしかった!」
「っっ!!なななんあなんあなんあなな……」
「ああ、の肌って豆腐みたいにつるつるのもちもちで、おいしいね。好きになっちゃいそう」
「く、久々知のばぁかああああああああ!!!!!!!!変態いいいいいい!!!」
「え!?」


納豆をひっつかみ、は猛然ダッシュでその場から逃げて行った。
ぽかーんとしている久々知。


「おい、久々知」
「あ、三郎に雷蔵」


久々知に声をかけた双忍コンビは苦笑いを浮かべてご飯を食べていた。


「あのさ〜、久々知。お前それ、わざと?」
「三郎、わざとなわけないだろ?あれ、わざとだったらちゃんかわいそうだよ」
「え?二人ともなんのことさ?」
「ほらね」


盛大にため息をついて、三郎が言う。


「え?久々知、お前のこと好きなの?」
「す、き?」
「そうだよ。久々知さっきちゃんに……く、口吸いしてたじゃないか」


ようやく、そこで久々知は自分のしでかしたことに気づいて、真っ赤になった。


「わ、や、わわ、私、どうしよう!!!」
「「しーらないっ!」」
「う、〜〜!!すまない〜〜!!」


食堂から走って出ていった久々知を三郎と雷蔵はため息をついて見送った。


「というかさ、雷蔵。豆腐も納豆も大豆から作ってるんだよな?」
「まあ、二人ともなんだかんだ気が合うんじゃない?」
「「どーでもいいか〜」」


〜!すまない!!責任とるから〜〜!!」
「いやぁああ!来ないでぇえ!も、私!私のファーストキスがぁああああ!!」

















































本当久々知書けないんですorz
アホだ。