主導権 目の前に突きつけられたその欲望に、知らず知らず息が上がっていく。 声を漏らせば、上ずってしまうに違いない。 白い指先とは打って変わって赤い肉欲がたらりたらりと涎を垂らしながら、いじられている。 上を盗み見ると、快感に潤んだ瞳をとろんとさせた三木ヱ門がこちらを見下ろしていた。 「、……も、もっと私を」 続きは、上がる声を堪えるためにかみ殺された。 押し殺した興奮を含んだ三木ヱ門の吐息と、絶え間なく続くいやらしい三木ヱ門の手淫の音が耳を擽る。 興奮で、胸がどきりどきりと声を上げている。 もう、我慢もできなかった。 先端からくぷりと溢れだす欲望の涎を、舌をことさら尖らせて舐め取った。 「ぅあっ……」 「ふ、ん、んん、んん……」 舌全体をべろりと裏筋に這わせて、舐めあげる。 歯をたてないように口いっぱいにほおばったり、吸い上げたり、自由に頂く。 喉の奥に当たると苦しくて、胃が逆転しそうになるが、それよりも快感の声を上げ続ける三木ヱ門にもっと、もっと気持ちよくなってほしくて、舐めまわす。 鈴口に舌先を這わせて、溢れる我慢汁を喉の奥へと流し込む。 「ん、あっ」 ちゅぷりと、音を立てて口の中から三木ヱ門の雄が引き抜かれた。 途端に苦しさも忘れて満たされていた筈の口内に寂しさを感じてしまい、つんっと唇を尖らせた。 恨めしげに再び雄から目を離して三木を見上げた。 三木ヱ門の唇の端がつうっとつり上がる。 ぞくり。 「あ、はっ、なんて顔…してんだよ」 ぐちゅぐちゅぐちゅ 「すっごい、えろい」 早まる手の動き。それに伴って濃厚に響く音。 くちゅくちゅくちゅくちゅと、まるで自分の中を掻きまぜられているかのように あっ。 「っ」 切なげに三木ヱ門の声が胸を打つ。 両手に楔があれば、よけることもできずに彼の放った白くて濃い液体は私の鼻のあたりから頬にかけてかけられた。 鼻を突く、青臭い匂い。 「、、っ」 幾度なく呼ばれる名前に、まだ残っている最後の一滴まで吐き出そうと彼の手は自身を擦り上げ、短く息を吐き出した。 最後の一滴までぴゅぴゅぴゅと残らず私の顔にかかる。 閉じていた瞳を開いて、彼を見た途端、いまだ萎えない雄で頬を撫ぜられる。 白濁とした精液を顔に塗りたくられ、笑われ、見降ろされ、愛されていた。 「どうした、嬉しいだろ?」 決して触れられてもいないからだが、なぜこんなにも疼く。 熱が、高ぶる。 興奮している三木ヱ門のせいだろうか。 それとも、後ろ手に括られた両腕のせいだろうか。 ぎしりと、肩が悲鳴を上げた。 「ん、ん……」 首を伸ばして精で汚れた三木ヱ門の雄を舐める。 貴方のためになら今までの生き方だって否定したっていい。 「三木、ちょうだい」 もらえないとわかっていても、懇願してみせる。 もっと欲しいものをくれるなら。 「、かわいい」 冷たい眼の奥に欲望をぎらつかせて、笑って……三木ヱ門。 かわいいのは、そっちだよ。 は、もう一度三木ヱ門の雄を口の中に迎え入れた。 今度はの頭を両手でつかみ、ゆるく腰を動かし口の中を犯し始めた三木ヱ門。 苦しそうな息遣いにもかかわらず、生まれ来る快感に耐えきれず身をよじらせては彼に身を任せた。 段々と激しくなっていく腰使いに、喉の奥をより激しく突かれる。 喉の奥に吐き出される精を待ちわびては、うっとりと瞳を閉じた。 肩は、ぎしりと、愛に悲鳴を上げた。 終 貴方のためになら生き方に反してもいい |